2006年10月04日

IRON MAIDEN [A Matter Of Life And Death]

B000H7JD4KA Matter of Life and Death
Iron Maiden
Sanctuary 2006-09-05

by G-Tools

おそらく今年発売になるハードロック/へヴィメタル系アルバムの中でも最も重要なアルバムのひとつ、IRON MAIDENの[A Matter Of Life And Death]が発売になりました。
ブルース・ディッキンソンが再加入して3作目となりましたが、このところの欧米でのバンドに対する追い風を受けてか、とても野心的なアルバムという印象を受けます。おそらくアルバム全体通してここまで密度の濃い、音数の詰まったアルバムはIRON MAIDENの全カタログ中1番ではないでしょうか。
前作[Dance Of Death]は、新生IRON MAIDENのスタートを成功させた前々作[Brave New World]を受けて、よりバラエティーに富んだ個性の強い楽曲を集め、飽きの来ない素晴らしいアルバムでした。
本作はすでに各メディアで“複雑な”とか“プログレッシブ”などと表現されている通り、多くの要素が詰まった複雑でシリアスなアルバムであると思います。1曲1曲のブルースの歌唱のアグレッシブさや歌詞内容のシリアスさ、ギターリフの重さなど、いつものIRON MAIDENの作品よりへヴィだと感じる要素がアルバム全体を支配しています。もともと長めの曲が多いバンドではあるものの、[戦記]という邦題が表すとおりアルバムを通して一貫したトーンがあり、現代の世相を映し出すかのようなダークなムードを感じます。CDのブックレットでは“なぜだか判らないが当初のテンポよりも遅くなっていた”曲をそのほうが重みや威厳といったものを表現出来て良いからという理由でそのままレコーディングされたことも、何となく前のめりな疾走感が感じられない理由でしょう。しかしこのような書き方をしたからと言って否定的なわけではありません。聞き手に集中力を要するという意味で前作のような即効性はありませんが、聴けば聴くほど新たな魅力を発見できる緻密な構成力をまざまざと見せつける曲は実は1曲1曲聴くと最初に感じた“ダーク”といった印象は感じず、いつものIRON MAIDENと同列に並べても一切違和感は感じない曲ばかりです。私自身もこのアルバムを何度となく聴いていますが好きな曲もどんどん変化し(ちなみに私が現時点で1番気に入っているのは(5)The Longest Day)、結局IRON MAIDENは全くブレていないのだ、という結論に至りました。2・3回アルバムを通して聴いたら後は気に入った曲だけ再生したくなるアルバムが乱発される中、IRON MAIDENは常にアルバムをひとつの単位と考え創作してきて、本作でも繰り返し聴きたくなる魅力満載でバンドが迎えた何回目かの全盛期はまだ続くと確信出来るアルバムだと思います。

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2006年09月28日

DREAM THEATER [Score]

B000GRTSFAスコア~フル・オーケストラ・ライヴ 2006
ドリーム・シアター
ワーナーミュージック・ジャパン 2006-09-06

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バンド結成20周年を記念して行われたツアーのファイナル、地元NYのラジオ・シティー・ミュージック・ホールでのオーケストラとの共演を収めたライヴDVDが発売されました。
他のどんなバンドも太刀打ち出来ないほどの圧倒的なライブでの演奏力、構成力、そして曲の良さを誇るDREAM THEATERなのでこの20周年を迎えるまでに数多くのライブ盤が存在しますが、この[Score]はただのライブの記録以上の意義がしっかり詰め込まれた内容になっています。
バンドが各時代に残した曲を次々にアルバムよりも素晴らしいバージョンで披露する前半は幻の曲[Raise The Knife](アルバム[Falling Into Infinity]から外された曲で当時のバンドの危機的状況をDisc 2でマイク・ポートノイが語っているのが興味深い)のサプライズまで飛び出し[The Spirit Carries on]でクライマックスを迎えます。この曲での会場の一体感と素晴らしいメロディーに思わず涙が出そうになります。この日の5人の演奏はとても素晴らしく、サウンドももしかしたらレコードより良いのではないかと思う程で、とくにジェイムス・ラブリエのパフォーマンスは技術的に高い歌唱力を要求される曲を楽々と歌いこなすのは当然といった感じで、各曲への感情移入度も大幅に増しており現在の彼の状態が最高を維持しているのが判ります。一糸(指?)乱れぬ演奏技術と歌唱力にこれまでなかった高い表現力を加えたDREAM THEATERのライブは以前の彼等すら霞んで見えてしまうほどの存在感を放つまでに変貌していました。
そしていよいよ第2部です。[Six Degrees Of Inner Turbulence]がオクタヴァリウム・オーケストラとともに演奏されます。アルバムではキーボードでオーケストラ風にアレンジされていたOvertureはやはりアルバムより格段によいバージョンに聴こえます。オケの編成や音のバランスは若干甘いですが、この40分を超える大作がオーケストラとともに淀みなく演奏されるのは本当に圧巻です。歌詞に出てくるキャラクターを演じるように歌うラブリエも活き活きとしていて、オーケストラとともにこの曲を新たな次元に運んだのは間違いなく彼の素晴らしいヴォーカル・パフォーマンスだと言えます。
他に選ばれた曲もオーケストラと共演するに相応しいエピックな曲ばかり。とりわけアルバム[Octavarium]の名曲Octavariumはオーケストラ効果もあって、よりオーガニックな魅力に溢れ、曲の持つ隠れた(本来の)姿を見せつけくれる名演です。最後に相応しい、普段より煌びやかに演奏されたMetropolisが終わった時、その場にいたわけではないのに良い音楽に心が満たされてとても幸せな気分になれました。
DREAM THEATERは長いキャリアの中でもおそらく今がトップコンディションなんだろうと思います。20年間進化し続けたバンドだからこそ常に“いま”が最高のバンドなんて他に見当たりません。そんな彼らをこれからもずっと追い続けて行きたい、そう思わせるライブでした。このライブ最後のジェイムス・ラブリエの言葉を信じて。“これからも夢を持ち続けよう”

VIDEO TEASER
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2006年09月20日

Unearth [V:In The Eyes Of Fire]

B000GG4QXAスリー:イン・ジ・アイズ・オブ・ファイヤー
アンアース
3Dシステム 2006-08-08

by G-Tools

アメリカのメタルコア・シーンでKILLSWITCH ENGAGEやSHADOWS FALLに次いで重要な位置を占めつつあるUNEARTHの通算3枚目のアルバムが発売されました。上記2バンドもUNEARTHもそうですがハードコア・シーンに軸足を置いていた過去と、北欧デスメタルに影響されたメタル以外の何者でもないサウンドでメタルコアという言葉を生むきっかけを作ったバンドとして本国では十分な注目を浴びているアルバムです。
他の同系バンドがメロディーを増量している中で明らかに差別化を図っているようなブルータルな方向性を示しており、80年代後期のスラッシュメタルやTHE HAUNTEDのようなデスラッシュ・サウンドの色合いが強く、全くメロディー無視の吐き捨てヴォーカルとテリー・デイトのプロデュースによって壁のようにそびえる獰猛なギターリフが終始雪崩れのように聴いている者に迫って来るようで、そこにテクニカルでメロディーを多分に含んだギターソロがモノトーンの楽曲にカラフルな色合いを加えています。この暴力性に満ちた曲と艶やかなギターソロが絡むコントラストがアルバム全編を通して全く緊張感を失うことなく貫かれています。そのおかげか、これだけへヴィーな内容にもかかわらず45分足らずの本編はあっという間にラストの(11)Big Bear And The Hour Of Chaosへと行き着いてしまいます。

これから来年にかけてアメリカのメタルシーンはTRIVIUM、KILLSWITCH ENGAGE、SHADOWS FALL、MASTODON、MEGADETHの新譜などが控えており、すでに発表されたSLAYER、IRON MAIDEN、LAMB OF GOD、ATREYUなどの新作も含めて、80年代のメタルシーン以来最大級の大きな波が来ようとしています。
このUNEARTHも必ずシーンの一翼を担うバンドのひとつとなると確信できるアルバムと言えるでしょう。

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2006年09月13日

WIG WAM[Hard To Be A Rock'n Roller...In Tokyo]

wig-wam-in-tokyo.jpg
ハード・トゥ・ビー・ア・ロックンローラー

ウィグ・ワム
キングレコード 2006-08-23

by G-Tools


日本では順序が逆になって発売されたノルウェーのWIG WAMの1stアルバムです。時代錯誤でど派手なルックスとそこからは想像もつかないハイクオリティーな楽曲で輸入盤の時点からかなり話題になり、続く2ndアルバム[WIG WAMANIA]での日本デビューを経て今回晴れて1stアルバムの国内盤がリリースされました。
彼らの驚くべきクオリティーを誇る楽曲は一言で言うなら80's ポップメタル。しかもBON JOVI登場以降のキーボードを大幅に導入し洗練されたサウンドと一緒に歌える分厚いコーラスを満載したキャッチーなポップメタルで、私のように当時からロックを聴いている者には聴き終わるころには80年代に聴いた全てのポップメタルバンドを思い出したと言っても過言ではない位に当時のサウンドを踏襲しています。曲が進むたびにデスモンド・チャイルドやジム・バランスといった腕利きのコンポーザーやブルース・フェアバーン、マイケル・ワグナーなどの大物プロデューサーが浮かんくるということは、やはりそれだけ良い曲を書いているということの表れではあるが、この曲のこの部分はあのバンドのあの曲の一部分といった突っ込みは大いにされるでしょう。しかし現在のロックシーンに彼等のようなバンドが殆どいないこと、欧州の現在のロックシーンの活況ぶりなどから、“こんなの80年代バンドのパクリじゃないか”と冷ややかにあしらわれるのではなく、よりオープンに幅広いロックファンに受け入れられているように思います。
中でも際立つのはデスモンド・チャイルド節全開の(1)In My Dreamsで、冒頭に強烈なサビの“Come on Comen on Come on!”を配置し、Aメロ、Bメロ、サビと徐々に盛り上がっていくメロディーラインが素晴らしくあまりにいい曲なので聴きながら笑ってしまった程です。いわゆる“この1曲のためにこのアルバムを買う価値がある”曲です。(7)No More Living On Liesや(15)Hard To Be A Rock 'N' Rollerも同様に北欧のバンドらしく叙情味溢れるメロディーが素晴らしく最初から最後までテンションが下がらない各楽曲のクオリティーは見事です。
バンドイメージや過去の経歴と言った部分はあえて触れません。心を真っさらにしてまずはこの素晴らしいアルバムを体験して欲しいので。純粋にいい曲が聴きたい方はぜひ聴いて欲しいアルバムです。

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2006年09月06日

AFI [Decemberunderground]

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AFI
Interscope 2006-06-06

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バンドにとって初めてのメジャー移籍後のアルバムとなった前作[Sing The Sorrow]は結果的に100万枚のセールスをあげ、バンドに過去最高の結果をもたらしました。バンドのコアなファンを満足させつつ一皮剥けた力強さやポップセンスを見せつけ、多くの新しいファンを獲得することに成功したアルバムでした。
約2年ぶりに発表になった本作ではその延長路線上にありながらも、楽曲に持ち込んだメロディーやアレンジはさらなる広がりを見せ、曲によってはAFIらしからぬ、と形容出来るほど多様な楽曲を提示してくれました。
パンク、ハードコア、ゴス、エモなどをAFIなりにごちゃ混ぜにしたスタイルは特徴的なDaveyのヴォーカルという1本の紐で結び付けられているものの、その枝葉はあらゆる方向に伸びそのクオリティーはポップシーンでも十分に通用するものだと感じました。
(6)Love Like Winterは特に印象的な曲で、3分弱の短い時間の中で今までのAFIには無かった清々しさのようなポジティブな雰囲気があり、曲を聴き終わる頃にはサビが頭から離れなくなります。もちろん(2)Kill Caustic(4)Summer Shudder(7)AfflictionなどAFIらしい曲もあり、アルバムを通しての印象はバラエティーに富んだ内容ながらそのどれもが高い水準を保っている、といったところでしょうか。
今回のDaveyのヴォーカルパフォーマンスですが、私個人の印象では前作までのDaveyは所々で若干力強さに欠けるというか、安定感に欠けると思えるものもありましたが、本作ではそうした部分はほぼ皆無で主に中低音域でのヴォーカルに安定感が増しました。演奏陣もとてもタイトで以前のやや軽い印象はまったくありません。

ダークな雰囲気、張り裂けそうになるメロディー、攻撃的なスクリーム等はMY CHEMICAL ROMANCEが好きな人やスクリーモ好きには強くアピールする作品ですし、本作はより幅広いロックファンにも訴える魅力も備えていると思います。

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2006年08月28日

STONE SOUR [Come What (ever) May]

B000G8NXBYCome What(ever) May
Stone Sour
Roadrunner 2006-08-01

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SLIPKNOTのヴォーカル、コリーとギターのジムによる2003年以来の2ndアルバムを発売したSTONE SOUR。前作はシングル[Bother]のヒットもあり、サイドプロジェクトにとどまらない成功を収め、ゴリ押し一辺倒に近かったSLIPKNOTと比べ、こちらでのコリーは水を得た魚のようにヴォーカリストとしての様々な潜在能力を発揮していたのが魅力でした。そうした前作の成功はSLIPKNOTの3rdアルバム[VOL,3 (THE SUBLIMINAL VERSES)]にも大いに反映され、一皮むけたSLIPKNOTへの変貌に大きく貢献したと思います。
本作は前作の成功をモチベーションとしながら全ての面でスケールアップが図られ、バンドとしての出音のまとまり感も格段に向上し、楽曲自体が放つ個性もSTONE SOURらしさを確立しつつあるように思います。前作にも共通することですが、SLIPKNOTのファン(コアなファンはともかく)が聴いても十分楽しめる攻撃性を残しながらもより多くのリスナーにアピールする楽曲の幅広さがあり、そのバランス感覚というかさじ加減が今回はさらに絶妙です。
(1)30 / 30-150(6)Rebornはへヴィーでありながらしっかりとメロディーが強調された曲で“SLIPKNOTのメンバーのアルバム”である事を目当てに聴くファンにアピールし、(4)Sillyworld(8)Through Glass(12)Zzyzx Rd等のメロウな曲はノーマルな歌唱でこそ存在感が際立つコリーの変幻自在のヴォーカルが楽曲をさらに立体的に引き立ています。
この(4)(8)等のスロウな曲での丁寧に切々と歌い上げるパフォーマンスは何となく元LILLIAN AXEのロン・テイラーを思い出させるのですが、SLIPKNOTの持つメタル的、へヴィロック的アプローチよりもハードロックという言葉が似合うサウンドと哀愁すら感じるメロディ、そしてコリーの声質がそう思わせるのかもしれません。いずれにしろ、このアルバムを聴いて私はコリー・テイラーというヴォーカリストが一層好きになりました。

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2006年08月22日

Bullets And Octane [In The Mouth Of The Young]

B000FI8TEGイン・ザ・マウス・オブ・ザ・ヤング(2ヶ月限定スペシャル・プライス)
ブレッツ・アンド・オクタン
BMG JAPAN 2006-06-21

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爆走ロックを信条とするBullets And Octaneの待望のメジャー移籍第1弾アルバムが届きました。前作もとても良かったので期待していましたが本作も非常に素晴らしい出来になっています。
MOTORHEADやALMIGHTY等を彷彿させる、走りだしたら止まらない爆走ロックは本作でも健在、さらにメリハリの効いた曲作りと一層タフになった演奏で大きな成長を感じます。メタルだろうがパンクだろうがロックンロールだろうが疾走するスピードチューンはいいものですね。今回もドライブ感と骨太なメロディーでライヴの熱さを感じさせてくれます。
特に(1)Going Blind(2)My Disease(3)Save Me Sorrow(4)I Aint Your Saviorの畳み掛ける流れはアルバムの印象を決定付ける強力な曲の連続で特に(4)I Aint Your Saviorの出来は出色です。他にも(5)Cancer Californiaや(10)Bathroom Floorのようなメロウな曲も完成度、より幅広い層へのアピール度など申し分なく、アルバム内で効果的な役割を果たしています。

理屈抜きでカッコいいロック・アルバムです。ロック好きな全ての世代に受け入れられるキャッチーさと後続が出現するであろう牽引力を持ち合わせた非常に有望な若手バンドBullets And Octane。まずはこのアルバムで来日公演を実現させてほしいものです。

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2006年08月16日

FAIR WARNING [Brother's Keeper]

B000FZDMVOブラザーズ・キーパー(初回限定盤)(DVD付)
フェア・ウォーニング
マーキー・インコーポレイティドビクター 2006-07-26

by G-Tools

一時期の休止期間を経て再び我々の前に姿を現わしたFAIR WARNINGの5thアルバムが発売されました。
ドイツ産のメロディアスなハードロックバンドで、デビューアルバムから桁外れの楽曲のクオリティーで日本でもすぐにトップクラスの人気を獲得、アルバムを重ねる度に数々の名曲を生みだし、その地位は確固たるものとなっていました。しかしヴォーカルのトミー・ハートがFAIR WARNINGのライヴ活動の少なさや自らのクリエイティビティーの追及のため脱退したことを受けて解散。6年のブランクを経ての5作目となりました。
まず何よりあのFAIR WARNINGの音であることに安心感を覚え、オープニングの(1)Don't Keep Me WaitingはFAIR WARNINGのアルバムには必ずある必殺チューンで、伸びやかなトミーのヴォーカルとヘルゲ・エンゲルゲの飛翔するギターソロに以前からのファンは「これこれ!」と頷ける出来で混じりっ気無しのFAIR WARNINGサウンドであることを主張しています。
他にも(6)Generation Jedi〜(7)The Wayの流れが素晴らしく、ミドルテンポで重厚に始まりどこまでも駆け上がるようなトミーのヴォーカルメロディーとそれに呼応するようなヘルゲのソロ(アルバム中一番の出来!)が高揚感を煽る(6)Generation Jediから、(1)Don't Keep〜にも通ずる丁寧なアレンジ(特にウレ・リトゲンのベースが素晴らしい)と覚えやすいサビが耳に残る(7)The Wayそして(8)All Of My Loveの流れは本作中最も聴きごたえのある展開と言えるでしょう。他にも、これが1曲目の候補だったというC.C.ベーレンスの雷鳴のようなドラムで幕を開ける(13)Push Me Onは2ndアルバム[Rainmaker]の超名曲Burning Heartの流れを汲むこれまた素晴らしい曲で、この曲をラストに持ってこれるくらい本作の楽曲群が充実していたと言う事でしょう。
インタビューでは今後のライブ活動にポジティブなコメントをしており、これを期に本格的なライブバンドとしても活動を期待したいところですが、なにはともあれ、こうしてまたFAIR WARNINGが活動を再開し素晴らしい作品を提供してくれる事に素直に感謝したいと思います。
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2006年08月08日

Wolfmother [Wolfmother]

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Wolfmother
Interscope/Modular 2006-05-02

by G-Tools

本作が早くも全米チャートで健闘しているWOLFMOTHERはオーストラリア出身の3人組です。
シングル曲[Woman]を聴けばわかる通り、曲の構成から音作りまで70年代のロックをそのまま現代に再現したかのようなサウンドで同郷のJETやTHE DATSUNSを思い浮かべたりしますが、WOLFMOTHERはより広範囲に70年代のロックバンドのエッセンスを取り入れているようで、曲によってLED ZEPPELINだったりBLACK SABBATHなどの偉大なバンド達の面影をちらつかせながらヴォーカルのアンドリュー・ストックデイルのポップでサイケデリックなメロディーが心地よく響き、リズム隊の強烈なグルーヴに強制的に体が動いてしまう・・・そんなサウンドです。
(1)Dimension(3)Woman(9)Pyramidのように圧倒的なパワーグルーヴ系の曲は彼らの代名詞となるでしょうが、(8)Mind's Eye(11)Talesに代表される静寂に優しいメロディーが溶け込んで来てダイナミックに展開する曲の持つ魅力は格別です。特に(8)Mind's Eyeは美しいメロディーから70'sプログレの影響を感じさせるアレンジが素晴らしいこのアルバムのハイライトとなる名曲です。
おそらく古新しいWOLFMOTHERサウンドやイメージ等に注目が集まるのでしょうが、私自身はこういうサウンドを懐かしいとも新鮮とも感じない中途半端な世代のため、曲の良さやクールな演奏そのものにフォーカスすることが出来ましたが、意外なほど凝ったアレンジや硬軟使い分ける幅広い楽曲は将来の伸びしろを十分感じながら楽しむことが出来ました。彼等のライブは観たことがありませんが、こうした楽曲を聴く限りライヴならではのインプロヴァイズが展開される事は容易に想像できます。アルバムでももっと楽器陣のインプロヴァイズがあればより音楽に熱気が加わりライブ直結の魅力が増して行くのではないかと思います。

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2006年08月02日

Amorphis [Eclipse]

B000FIHCQWエクリプス
アモルフィス
ビクターエンタテインメント 2006-06-28

by G-Tools

AMORPHISの通算7枚目のアルバムが発売され各方面で高い評価を得ています。フィンランド出身のデスメタル・バンドとしてスタートし、そこに北欧のバンドならではの郷愁感漂うメロディを導入し、現在世界中のメタルファンに認知されるまでになった北欧メロディック・デスメタルの礎を築いたバンドのひとつとして評価され、前作までの数作ではデスメタルからは距離を置いたゴシックメタル・バンドとしてキャリアを積み本作をリリースするに至りました。
一聴すると際立っているのはここ数作なりを潜めていたヘヴィさと悲哀に満ちたメロディーの中に沸き上がる力強さがアルバム全編に確認でき、個人的には彼等の最高傑作と言われる3rdアルバム[ELEGY]すら凌ぐ曲のクオリティーを誇っていると感じます。本作から加入した新ヴォーカルのトミ・ヨーツセンはAMORPHISが好きだったと言うだけあって前任者の声質を彷彿させ、負けず劣らず存在感を主張する逸材でデス・ヴォーカルではこのアルバムでのメタル度増幅に大きく貢献し、ノーマルヴォイスでは強弱を巧みに操りながらも芯の太い堂々たるパフォーマンスを披露しています。
本作の復活作的な色合いは我々聴き手側が感じる事であって本人たちがどう感じているのかは非常に興味深いところではありますが、ただ単に原点回帰したのではなくバンドのこれまでの変遷を咀嚼した上での飛躍的な成果である点は重層的なアレンジの巧妙さの中に見ることができ、もはやゴシック・メタルとかデスメタルといった言葉では表せない完全なるAMORPHISサウンドに成長したのだと実感しました。
どの曲も本当に素晴らしいのですが、北欧由来のフォーク・ミュージックの影響とトミの咆哮、そして冒頭に書いたような湧き上がる力強さを感じさせるメロディーが展開される(3)Leaves Scarと、歌詞と一体となったようなスローで悲哀を感じさせる前半から一転、攻撃的にその激情を吐き出しながら完璧な構築美とあまりにも素晴らしいメロディーを伴って壮大な叙事詩となって聴き手の心に焼きつく(5)Under A Soil And Black Stoneは聴き込むほどに言葉を失う名曲です。中堅からベテランの域に達しながらもそこで単調なメタルの様式美を繰り返すだけには留まらない音楽に対する熱意や愛情、探究心に溢れる彼らの姿勢はもっともっと評価されていいと思います。ゴシック化以降急速に失速したここ日本での評価も本作の改心の一撃で前以上の盛り上がりを願わずにはいられません。

私見ですが、AMORPHISと同郷のSENTENCEDの早すぎる解散に涙した方はこのAMORPHISの新作に、亡きSENTENCEDの姿を重ね合わせるとともに同じような愛情で接する事が出来るのではないでしょうか。私もその一人ですが、少し感傷的になると同時に心にポッカリ空いた喪失感が何だか温かく満たされたようで繰り返し、繰り返し聴き入ってしまいます。

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posted by replicant at 22:34| Comment(2) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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