2007年01月01日

BLIND GUARDIAN [A Twist In The Myth]

B000GLKRDSA Twist in the Myth
Blind Guardian
Nuclear Blast 2006-09-05

by G-Tools


ドイツが誇るメタルバンドのひとつではあったにせよ、最近はAVENGED SEVENFOLDの発言(BLIND GUARDIANやSONATA ARCTICAに影響された)でアメリカ市場でも急速に注目度が高くなっているBLIND GUARDIANのニューアルバムが素晴らしい内容になっています。
前々作[Nightfall In Middle Earth]はそれまでの集大成的作品として“極めた”アルバムであったとするならば、前作[A Night At The Opera]はBLIND GUARDIANが自分たちが進むべき方向を吟味し見事具現化し、新しい領域へ踏み出した作品でした。
本作も基本的にその前作を踏襲した内容になっていますが、その表現力はより多角的に広がり、疾走するメタルとクラシック音楽のクワイアやケルト音楽の牧歌的なメロディーを組み入れたスタイルにロックンロールの要素も顔を覗かせる幅広さを持ち、デビュー時にはヴォーカルさえ良ければ...などと揶揄されることもあったハンズィのヴォーカルもクリーンな高音から朗々と歌い上げる低音まで非常によく声をコントロール出来るまでになり、ジャーマンメタルファンはもとより、もっと潜在的なメタルファン(例えばEVANESCENCEは聴くが他のメタルは全く知らないようなファン)までも取り込もうとするような野心的な内容となっています。
先行シングルになった(4)Flyはまさにそういう曲で聴いてまず思ったのが随分シンプルだなということと、ハンズィのヴォーカルの変化です。ヴォーカルのメロディーを無視して聴いてみるとメタルというよりもほとんどロックンロールといえるほど“軽さ”を持った曲で、ヴォーカルメロディーこそBLIND GUARDIANのものですがハンズィのヴォーカルスタイルは力んだり、ザラつかせたりすることなく非常に“キレイ”な印象を与える歌唱でした。私はこの1曲を聴いて非常に不安を覚えた一人ですが、こうしてアルバム通して聴いてみるとそれはBLIND GUARDIAN印の付いた恐ろしくクオリティーの高い楽曲ばかりであり、BLIND GUARDIANとしての根幹には、これまで彼らのライブに足を運んだファンを納得させる基本を崩さずに、飽くなき質の追求と新しいことへの挑戦をしつづけるストイックさが伝わって来ます。“漢”らしさが大幅に薄まり、これまで長尺傾向にあったのが4〜5分台とコンパクトに収まった楽曲に“物足りない派”“新規参入派or再発見派”に別れそうですが、物足りないと感じる方もアルバム通して聴いた時の満腹感も決して前作に劣るものではないと思いますし、個人的には過装飾と感じた前作のアレンジと比べてダイレクトに曲そのものの良さが伝わってくるアレンジのレベルであると思います。(1)This Will Never End(2)Otherland(3)Turn The Pageの流れは完璧なBLIND GUARDIANだし、お得意のケルト節全開の(9)Skalds & Shadowsもあります。アルバムを何度も何度も聴いてるうちに始めは少し懐疑的だった自分の中でもこのアルバムはどうやら重要なものになりそうだという実感が湧いてきました。
2月にはANGRAとの奇跡のようなカップリング・ツアーが実現する彼ら。ヨーロッパでの彼らの人気に比べると日本での彼らはもっと評価されていいような気がするので、ぜひこの来日公演を起爆剤にしてほしいものです。
posted by replicant at 00:32| Comment(2) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月24日

POISONBLACK [Lust Stained Despair]

B000H3064ALust Stained Despair
Poisonblack
Century Media 2006-09-04

by G-Tools

SENTENCED存命時にサイドプロジェクトとして存在したヴィレ・レイヒアラのPOISON BLACKが彼の新しいライフワークとなり、通産2枚目のアルバムをリリースしました。1stアルバムではヴィレはギタリストでしたが本作では1stアルバムで歌っていJ.P.レパルオトがの脱退によりヴィレがヴォーカルを兼務しています。本作を聴いて思うことはSENTENCEDはやはりSENTENCEDであったということでしょう。現在、ヨーロッパに広く蔓延するゴシックメタルなるものはSENTENCEDやPARADISE LOST等のバンドによってその下地が作られ、その後数多くのバンド達にその型が様々な解釈で受け継がれ、特にヨーロッパではひとつのジャンルとしてしっかりとシーンに根付いていますが、彼らが別格とも言える存在感を発していたのは、ゴシックメタルたる暗く冷たい様式美に80年代のヘヴィメタルにあった細やかな構築美、叙情性を導入することによって生まれる激しさ、重さとエモーショナルなメロディーの劇的な融合に言及することが出来るのではないかと思います。特に遺作となった[The Funeral Arbum](2005)ではメタル的ダイナミズムとゴシックの持つ耽美的な美しさと彼ら特有の激情が高次元に融合し、このスタイルにおけるひとつの最終形を提示しました。そのヴィレがいるにも関わらずこのPOISON BLACKはSCNTENCEDとは基本的に異質のものであると感じます。もともとSENTENCEDはガッチガチのデスメタルバンドとしてスタートしているので、そこには最初からメタル特有の早く複雑なリフがありバンドの最終形に至るまでにもそうした伝統的なメタルの要素に溢れていたのに対して、本作にてヴィレが弾くギターにはそういったメタル様式の影響が薄い感じがします。どちらかというとHIMが実践しているような、初期ブラックサバスから影響を受けた90年代のヘヴィロック的な音圧を重視したようなものが目立ちます。よって繊細なアレンジと絶望感を想起させるメロディーで劇的なメランコリズムを表現する方向性は同じでもSENTENCEDがメタルに軸足を置いているとするならば、POISON BLACKはヘヴィロック的な質感が含まれていると感じました。もちろんSENTENCEDにはミカ・テンクラ(g)とサミ・ロパッカ(g)という作曲担当のメンバーが他にいたのでそこが一番の違いを生み出しているのは当たり前ですが、ヴィレが歌っていることで薄まるギャップは想像以上に大きいし、それだけの特徴を持ったヴォーカリストということなのでしょう。
このアルバムは我々がPOISON BLACKに対して(ヴィレに対して)期待するものをかなり忠実に提供してくれています。SENTENCEDが宿していた独特の“冷気”のようなものは薄れ、逆に“慟哭”と呼ぶに相応しいヴィレの煮えたぎるようなヴォーカルを中心に据えたドラマティックで強烈なフックを持った曲が多くPOISON BLACKとしての個性を確立しています。
しかし冒頭にも述べたようにSENTENCEDを失った喪失感が癒されることはありませんが、少なくともそのDNAを受け継ぎつつ転生したバンドの作品として素晴らしいアルバムですし、逆にHIMなどを聴くファンが始めてこの名前を聴いたのならぜひ聴いていただきたいとお勧め出来るものです。

試聴する(4曲目のRushのVideoが見られます)
posted by replicant at 05:05| Comment(2) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

Killswitch Engage [As Daylight Dies]

B000J103KMAs Daylight Dies
Killswitch Engage
Roadrunner 2006-11-21

by G-Tools

ヘヴィーメタルという狭義な音楽ジャンルの中にも様々な方向性やトレンドがあり、その中でKillswitch Engageは今最前線を走るバンドのひとつとして認識され、本作によってメタルミュージックそのものを牽引する存在に大きくステップアップしようとしています。彼らやSHADOWS FALLが新しいメタルとしてアメリカ国内で認知され“メタルコア”や“MAメタル”という言葉がもてはやされる様になったのは、彼らがハードコアバンド出身メンバーによって結成され、ハードコアのエッジを持ち込んだメタルナンバーを評して使われるようになったのが起源ではないかと思います。初期のサウンドこそそういったハイブリッド感が漂っていたものの今ではすっかりメタルバンド以外の何者でもありません。そのクオリティーは本作でも上昇するいっぽうのようで、叩き上げのライブバンドとしての自信・余裕と自分たちがやっていることに対する確信に後押しされた楽曲はもはやアンダーグラウンドな世界を超越し、メタルバンドとしては異例とも言えるほどのメジャー感を漂わせています。
脳内を巨大なブルドーザーで蹂躙されるような圧倒的な殺傷力を備えたギターリフはさらにへヴィーにキレ味鋭くなっているように感じますが、ギターリフ自体が放つメロディー感が異常なまでにキャッチーで耳を捕らえて離さず、その上に乗るハワード・ジョーンズのヴォーカルはさらにインテンスに、よりロマンティックに聴くものの感情を揺さぶります。前作のような判りやすい1曲があるわけではないのに、前作以上に聴きやすく感じるのはこうしたライブでの大合唱を意識したアレンジの増量とそれを可能にしたハワードの七色のスクリームとスクリーム以上に“魂”を感じるメロディーヴォーカル、そして前作以上に増したアダム(g)のライヴでのキレコミカルなパフォーマンスからは想像しがたいクールなメロディーヴォーカルなどによって曲単体の出来が飛躍的に向上したことによるアルバム全体のクオリティーの向上が要因でしょう。シングル曲(5)My Curseに限らず、どの曲にもライブで大合唱確定の素晴らしいメロディーがあり、そのどれもが安っぽいポップなものにはなっておらず、もはやKILLSWITCHしか創造出来ない壮大でエレガントな雰囲気が醸しだされています。初めて聴く方には(5)My Curseや一際ドラマティックな(3)The Arms Of Sorrowがお勧めですが、個人的に本作で一番と感じたのは(9)Break The Silenceです。現在のバンドのポテンシャル全てを出し切ったような重厚壮大なギターに強烈なスクリームと勇壮なメロディーを最良の形で聴かせるアレンジは見事で、疲弊した社会に対して自己の覚醒を即す歌詞も素晴らしい内容で、曲の3分過ぎの静寂の後のハワードの絶叫には鳥肌モノです。他には(10)Desperate Timesの今までの彼らになかったようなDEFTONES風のエピックな手法も新鮮です。

興味深いのは、先ごろリリースされたTRIVIUMのニューアルバムとの比較です。20歳そこそこと若いメンバー構成のTRIVIUMは自らの愛する音楽に対するルーツの探究を楽曲作りに投影させ、自らの血肉としてバンドの方向性を変化させているのに対して、Killswitch Engageは自ら起こした灯火を大きな炎へと堅持、そして昇華させることでARCH ENEMY風IN FLAMES風といった北欧デスメタルからの脱却(もともと彼らのサウンドは北欧勢とはギターリフもメロディーの質も違ったが)と自分たちのサウンドを完全に唯一無二のものへと深化させることに成功しています。どちらも今後のメタル界に大きな影響を与えるバンドだけにこの方向性の進化と深化の違いは今後ふたつのバンドをどう位置付けていくのかという点で非常に興味深く楽しみでもあります。

試聴する(今ならDIOのカバーが聴けます。やるな!ハワード笑)
posted by replicant at 06:21| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月03日

SUGARCULT [Lights Out]

B000G5S704ライツ・アウト
シュガーカルト
カッティング・エッジ 2006-08-30

by G-Tools


通算3作目となったSUGARCULTの新作[Lights Out]はパワー・ポップ、ポップ・パンクと呼ばれた1stアルバムのころから又さらに右肩上がりの成長曲線を描き、メンバーの人間としての成長、価値観の成熟などが歌詞や音作りに表れ、いつもながら胸をしめつける様なメロディーと非凡なポップセンスで埋め尽くされた充実の3rdアルバムとなっています。デビューアルバム[Start Static]当時からパワーポップ系でありながら他の同系バンドの“勢いまかせ”的な雰囲気のない肩の力の抜けたスマートな楽曲が印象的な彼らでしたが、アルバムを重ねる毎に良いメロディーはそのままに深みを増して、より幅広い意味でのロックバンドとなりました。
本作を聴いて最初に気付くのは曲の良さもさることながらヴォーカルのティムの表現者としての大きな成長でしょう。少々しわ枯れた声が彼の魅力ではありましたが、声音自体に感情表現がよりダイレクトに伝わるようになり新たな楽器がひとつ加わったような新鮮さすら感じます。(7)Made A
Mistakeなどは今までの彼の歌唱にはなかった“生々しさ”や“ソウル”が感じられ、説得力という点ではこれまでと違う深みが感じられる一因となっています。
楽曲は、例えるならGREENDAYの[AMERICAN IDIOT]の愁いに満ちた側面を彼らの持つポップセンスと上手くすり合わせた様な雰囲気とJIMMY EAT WORLDの曲作りの上手さに肉薄する出来を誇り、プロモーション次第では大きな成功に繋がる可能性を感じさせる良質な楽曲が並びます。勢い良く始まる(1)Lights Outからの(2)Dead Living(3)Los Angeles(8)Riotは彼ららしい勢いとメロディーの心地よさを堪能出来る楽曲として歓迎されるだろうし、(4)Do It Aloneや(7)Made A Mistake(10)Shakingは成熟した彼らのしなやかなポップセンスが光っており、前の方が良かったとは決して感じさせない魅力を放射しています。彼らが成長した分だけ、本作でまた新たにファンが増えてくれたら、と思わずにはいられません。

試聴する
posted by replicant at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月23日

ANGRA [Aurora Consurgens]

angra-auroraconsurgens.jpgオーロラ・コンサルジェンス
アングラ
ビクターエンタテインメント 2006-10-25

by G-Tools

彼らにとっての現時点での金字塔とも言うべき前作[Temple Of Shadows]は、彼らがもはやメロディック・スピードメタルの枠に収まりきらない才能を証明し、ANGRA流のプログレッシブ・メタルを提示し誰もが到達出来なかったDREAM THEATERの領域に足を踏み入れた傑作となり、当時世界的ベストセラーとなっていたダン・ブラウン著[ダ・ヴィンチ・コード]のセンセーションとの相乗効果もあり大きな成功を収めました。

膨大な情報量で満たされ、その全てが重要なピースと言えた前作と比べると、本作の製作過程には(BURRN!誌のインタヴューを読む限り)ANGRAファンからするとネガティブに捕らえがちな事実が幾つかあります。
(1)急なアルバム製作によって十分な楽曲が揃わなかったこと。
(2)(1)によって作曲の要であるラファエルの曲がとても少ないこと。(ラファエルは前作に対するプレッシャーからなかなか曲が出来なかったとも告白している)
(3)前作製作時からのエドゥ(Vo)の声帯の状態悪化により高音を抑え、多少ラフな歌唱に変化していること。
などです。
しかし、そうした状況によってANGRAの底力も十分に発揮されています。例えば、
(1)ラファエルに代わってメインソングライター的役割を果たしたキコの楽曲の出来の良さ。
(2)フェリペ(b)が初めて楽曲提供した事実。
(3)シンプルであるがゆえに表出したグルーヴやヘヴィさ、それに馴染むエドゥのブルース・ディッキンソン的ヴォーカルの魅力(Scream Yuor Heart Outは素晴らしい)
などです。
(1)The Course Of Natureは本作を象徴するようなシンプルでありながら今までのANGRAにはあまりなかったグルーヴを感じさせ、(2)The Voice Commanding Youではとても彼ららしいサウンドで安堵感を与え、静と動を行き来し、キコのギターが素晴らしい(3)Ego Painted Grey、エドゥの曲らしいバラード曲(4)Breaking Ties等聴き所が多く、さらには本作の最大のハイライトといえる(6)Window To Nowhere〜(7)So Near Do Farでは起承転結を持ったANGRAらしく音数の多い(6)から素晴らしいメロディーとブラジルのバンドらしい雰囲気で本作の中でも際立った個性を放つ(7)は今後のライブで聴くのが本当に楽しみな楽曲です。前作が傑作であり、本作に我々が期待する壮大なクワイアや疾走するメロディック・チューンはそれほど多くないもののシンプルな(他の凡百のバンドに比べればそれでもかなり複雑だ)バンドサウンドに徹した本作の曲がライブでどのような魅力を発揮するかも大変楽しみではあります。彼らは今回BLIND GUARDIANとダブル・ヘッドライナーという形ではあるもののシート付の渋谷公会堂での公演も実現しました。確実に大きなバンドに成長しつつある彼らに期待したいと思います。
posted by replicant at 18:45| Comment(4) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月11日

RIOT [Thundersteel]

B0000026JRThundersteel
Riot
Epic 1990-10-25

by G-Tools

TRIVIUMの新作を気に入り、メタルの過去の歴史を振り返ろうという貪欲で勤勉なロックファンは多いと思います。マスターピースとも言えるIRON MAIDENの[Number Of The Beast]、METALLICAの[MASTER OF PUPPETS]、JUDAS PRIESTの[Painkiller]、PANTERAの[Vulgar Display Of Power]などなど挙げればキリが無いですが、そうしたバンドほどの認知は得られなかったRIOTが出した[Thundersteel]は80年代後期のパワーメタルを代表する作品として上記4作品と並べて聴いても聴き劣りしない名作だと思います。RIOTはもともと70年代後半にデビューしているベテランで1st[Rock City]、2nd[Narita]といった名作を残したバンドでリーダーのマーク・リアリ(g)以外はメンバーも流動的で本作でヴォーカルを務めるトニー・ムーアで3代目だか4代目のヴォーカリストとなります。歴代のヴォーカリストとの決定的な違いは無理なく高音が出せる技巧派ということでしょう。
JUDAS PRIEST譲りの正統派ブリティッシュ・ヘヴィメタルの高貴さと当時新たな流れを作り出していたHELLOWEENなどのジャーマンメタル勢の攻撃性やスピードが加味し、そこに無理なくハイトーン・ヴォーカルを決めるトニーのメロディアスな歌メロと泣きのフレーズを連発するマークのギターが高次元で融合する奇跡のパワーメタルが展開され、RIOT史上最も攻撃的でありながら優れたメロディーセンスを失なわないバランス感覚が見事なアルバムと言えるでしょう。
アルバム・タイトル曲(1)ThundersteelはこれまでのRIOTからは想像出来ないようなパワーとスピードに漲っていて、トニーのハイトーンが炸裂する歌メロとの共存は当時聴いていてとても新鮮だったのを憶えています。もはや現代のメタルバンドは出せない威厳に満ちた(3)Sign Of The Crimson Storm、(1)同様にスピード感とメロディーが溶け合う(4)Flight Of The Warrior、DOKKEN等のLAメタルに影響されたかのような、アルバム中最もわかりやすい楽曲(7)Bloodstreets等はこのアルバムで再起を狙っていたであろうマーク・リアリの意気込みを感じる名曲です。
アメリカのバンドでありながらヨーロッパのバンドのような劇的な展開と歌メロを持つRIOTの存在は日本やヨーロッパでは高い人気を獲得しましたが、流動的なメンバー構成や良いマネージメントに出会えなかったことなど才能以外の要因が影響し、現在では“マニアしか知らないバンド”的キャリアに留まっています。
若手バンドが80年代回帰的な作風を押し出し、メタル・シーンが盛り上がっている今だからこそ、彼らのような才能に多くの人に気付いて欲しいと思い取り上げました。
posted by replicant at 15:13| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月07日

36CRAZYFISTS [A SNOW CAPPED ROMANCE]

36crazyfists-asnowcapped.jpgスノウ・キャップト・ロマンス
36 クレイジーフィスツ
ロードランナー・ジャパン 2004-03-10

by G-Tools


本作はすでに発売されてから2年近く経つアルバムですが、36CRAZYFISTSはアラスカ出身というロックバンドとしては非常に珍しい場所から出てきたバンドで、私もこのアルバムを発見するまでその存在を知りませんでした。その出音はヘヴィロックでありながら、ヴォーカルはスクリームとメロディー・ヴォーカルを使い分けるスクリーモやメタルコアタイプ。そして印象に残るメロディはアラスカ出身のせいかLAやNYのバンドとはどこか一線を画したもので、激しい音像の中にも埋もれない叙情味を感じさせるそのメロディーはアメリカのバンドというよりはどこかヨーロッパの匂いが漂っています。やはりアラスカも寒いところなので、そういった気候の違いが影響しているのかも知れません。
1曲目の(1)At The End Of Augustはこのアルバム、そしてこのバンドを知るうえでとても良いインパクトを与えてくれます。実際私も当時purevolumeで聴くことが出来たこの曲に大きな衝撃を受けてCDを即買いしました。また(3)Bloodwork(5)Skin And Atmosphere(8)Destroy The Map(9)Installing The Catheter等彼ら独自のメロディセンスがよく出た楽曲が多く、どの曲も独立した魅力を放っているのも大きな特徴でしょう。
そうした骨太で攻撃的なギターサウンドとキャッチーな歌メロが目立ちますが、なんといってもヴォーカルのブロック・リンドウの特殊な声質が耳に残ります。ザラついた質感と艶を併せ持つという意味でLINKIN PARKのチェスターに似たタイプですが、前作ではやや神経質気味な歌唱に聴こえた印象を完全に払拭し、ダイナミックなスクリームとそのテンションを持続したまま伸び伸びと歌い上げるメロディックヴォーカルは36CRAZYFISTSの突出した個性へと昇華しています。
ヘヴィロックともスクリーモともメタルコアとも呼べない、言わばそのいいとこ取りなサウンドがもしかしたら唯一のネックとなるかもしれませんが、肝心なのはバンドのスタイルではなく曲の出来そのもので、ヘヴィなサウンドと良いメロディーに中毒という方なら彼らの魅力を存分に楽しめるでしょう。
間もなく発売になる待望のニューアルバムも試聴した限り本作を踏襲した内容のようなので、新作を聴いて気に入った方は本作もぜひお薦めします。

試聴する
posted by replicant at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月04日

WINGER[Winger]

B000002IMLWinger
Winger
Atlantic 1990-10-25

by G-Tools

なんと解散から10年以上経って再結成し、新作[W]を発表するWINGERの記念すべきデビュー・アルバムです。WINGERは90年代に入ってグランジ・オルタナティブ時代に突入するまでに輝いた最後のバンドのひとつです。彼らがデビューするころはすでに80年代のハードロック・ヘヴィメタルのムーブメントは飽和状態に近づきつつありましたが、WINGERのデビューは実力派ミュージシャンが集まり、華やかなルックスと成熟した楽曲、RATTのプロデューサーとして有名なボー・ヒルのプロデュースということで期待の新人として紹介されました。テクニカルな演奏でありながら親しみやすく耳を惹きつけるアレンジの巧みさ、シリアスな曲もパーティー・ソングも徹底してメロディーの判り易さを前面に出すソング・ライティングは新人バンドのアルバムとしては驚異的な完成度でした。
本作からのセカンド・カットとなった(3)SeventeenがMTVから火が付き、しっかりしたライブも評判になりそこから雪だるま式にアルバム・セールスは伸びていきました。この曲に加えて、パワー・バラードでありながらバンドのミュージシャンシップが大いに発揮された壮大な(10)Headed For A Heartbreakがシングルとして大成功し、ライブ活動も大物バンド(KISS、SCORPIONSなど)の前座を勝ち取り、アルバムのセールスはいつの間にか200万枚に到達しました。(3)Seventeenや(8)Poison Angelなどは一聴するとポップなパーティーソングですが、とても複雑なリフとリズムによって構成されていて、ライブでのレブ・ビーチ(g)の指の動きやロッド・モーゲンステイン(Dr)の満面の笑顔での超絶テクニックはその他のLAメタル勢とは明らかに一線を画していました。当時ポップなハードロックを好んで聴いていた私に間接的により複雑な音楽(プログレッシブ・ロック)への興味を持たせてくれたのはこのWINGERのライブだったといっても過言ではありません。そのWINGERの才能の中心にいたのがキップ・ウィンガー(Vo、b)ですが、天性のルックスと洗練された身のこなしからポーザー扱いを受けたり、本当は楽器を弾いてないんじゃないか、などと色々言われましたが、音楽理論を学んだ彼の作るメロディーラインはポップであっても何か気高さを感じさせるような独特なもので、この1stアルバムでも(2)Hungry、(10)Headed For A Heartbreakなどに顕著に感じ取れます。
彼らの場合2ndも3rdも素晴らしいですが、個人的は80年代的ゴージャスさとWINGERの魅力が一体になった作品という意味で本作が一番気に入っています。新作[W]からWINGERを知った方には本作の煌びやかなサウンドにまた違った印象を持たれるでしょう。
posted by replicant at 20:32| Comment(0) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月25日

TRIVIUM [The Crusade]

trivium-crusade.jpgTHE CRUSADE
トリヴィアム
ロードランナー・ジャパン 2006-10-04

by G-Tools

――TRIVIUMは進歩し続けている。―――
前作[Ascendancy]は北欧メロディック・デスメタルへの憧れをそのまま表現した1stから大きく進化し、“TRIVIUM自身のメタル”へと成長した大出世作となり新世代ヘヴィメタルの旗手と言われる程の評価と成功を手に入れました。デスメタルの獰猛さ、正統派メタル的構築美、キャッチーなヴォーカルによる取っ付きやすさを備えた[Ascendancy]は若いメタルファンには新鮮さと衝撃を与え、長年のメタルファンにはアメリカからこういうバンドが登場したというメタルシーン自体のポジティブな変化を歓迎しました。
そんな彼らの3rdアルバムは当然注目が集まる訳ですが1stから2ndへの過程を上回る飛躍的な成長を遂げています。演奏がタイトでよりテクニカルになったのは前作に伴うツアーの賜物でしょう。叫ぶのを止めたのは彼らの前作発表後からの学習能力(彼らの興味は北欧デスから遡って80年代メタルへと向けられたようだ)やシーンの先を読む洞察力(メタルコア界のその他大勢との差別化)などが影響しているでしょう。
革新的というわけではありませんが、ギターリフの持つ殺傷力(特に顕著なのは80年代ベイエリア・スラッシュのような鋭利で複雑なギターリフの影響)と正統派メタルからデス、スラッシュの様式まで網羅する多彩さが、ただ叫んでいるだけではない“ちゃんと考えられたヴォーカルメロディ”を駆使することで前作以上の深みのある作品になっています。今回大成長したマットのヴォーカルはARCH ENEMYの前座で来日したときは勢い任せでメロディーヴォーカルは結構甘かったですが、そのメロディーセンスを存分に発揮した新曲をライブでどこまで表現出来るのかも見ものです。そして、散々言われていることではありますが、やはりMETALLICA、MEGADETHの影響は作品のあちこちで感じることが出来ます。
前作以上にフューチャーされているギターソロに関してはやや弾き過ぎの感は否めません(メロディーよりもテクニックが優先される場面があり、マイケル・アモットのようにテクニックに裏打ちされた素晴らしいメロディーばかりという訳ない)が、今自分たちがやっていることに対する自信と情熱と勢いをぶつけたような圧倒する力に満ちていて決して曲から浮いていないのも成長した証でしょう。

もはや今の時代にこの[The Crusade]がMETALLICAの[MASTERS OF PUPPETS]のような革新性は求められませんが、あのころの興奮やメタル熱は間違いなくこのアルバムからも発せられています。AVENGED SEVENFOLD、BULLET FOR MY VALENTINE、Killswitch Engageなどとこれからのメタル界を引っ張っていく者として確かな存在感を見せつけた傑作です。聴き逃さないでくださいね。

試聴する
posted by replicant at 22:12| Comment(7) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

Saosin [Saosin]

B000HT36QESaosin
Saosin
Capitol 2006-09-26

by G-Tools

SAOSINはこれが1stフル・アルバムとなるカリフォルニア出身の所謂スクリーモ系のバンドです。デビュー前から相当話題になっていたので私もpurevolumeやmyspace等で音を聴いていましたが、このアルバム、予想をはるかに上回る良いで出来です。
“スクリーモ”と呼ばれるカテゴリーはメディアの過剰な取り上げ方や、メジャー/インディー問わずレコード会社のバンドの青田買いによってすでに飽和状態に達しており、そうした音楽性を有するバンドたちは早くも“脱スクリーモ”的なアプローチを取る動きが目立ってきました。しかし、この遅れてきた大型新人はスクリーモの完成形とも言える楽曲クオリティーの高さを示すことで強烈な存在感を放っています。
音楽的にはThe Beautiful Mistakeあたりに近いのだろうと思いますが、SAOSINには絶叫スクリームはありません(EPではスクリームしていましたが)。高音が良く伸びるヴォーカル(前任者脱退時に一時的にSTORY OF THE YEARのフィリップ・スニードがヴォーカルを勤めたそうだが、確かにこの高音は彼以外に歌いこなせる人は少ないだろう)がセンシティブな感性を表現するメロディーは“エモ”そのものですが、余分なスクリームがない分そのメロディーやコーラス・アレンジ(ハワード・ベンソンのプロデュースによる効果大か)も含めて非常によく練られていて、流れるように、しかし同時に一つ一つのメロディーがとても印象的で、ザクザクしたギター(トーンにも特徴がある)や、特徴あるビートを叩き出すドラムとともに光っています。切ないメロディーでありながらその中に希望や温かさ、包容力のようなものを感じさせてくれるポジティブさに満ちたメロディーこそこのバンドがデビュー間もないにも拘らず国内で大きな人気を得ている最大の特徴でしょう。
どの曲にも幾重にも重なるヴォーカル・ハーモニーとコードをかき鳴らすだけに留まらない立体的なギター、手数足数の多いドラムが印象的ですが、あえて幾つか曲を挙げるとすれば(10)You Are Not Aloneでしょうか。やさしいメロディーとスロウなテンポが印象的で、たとえばWAKING ASHLANDが[I Am For You]1曲によってブレイクしたのと同じ効果を予感させるポテンシャルを秘めているのではないでしょうか?アルバムの中でも最も即効性のある曲でしょう。(1)〜(3)のたたみかけるような展開も素晴らしいです。アルバム全体として見ても捨て曲はないのですが、じっくり聴かせるタイプのミディアムナンバーが多い中で(2)Sleepers(3)It's So Simpleのようにロックでタフな曲の魅力が引き立っています。CDショップの試聴機に入っているところもあると思うのでぜひ(1)〜(3)を聴いてもらいたいです。
国内盤の発売がいつになるのか判りませんが、もう少し早く発売されていれば来日するTaste Of Chaos Tour '07の集客にも繋がったんじゃないのか?と考えてしまうくらいの充実の内容です。個人的には今年の新人の中でも突出した印象を持つバンドのひとつです。

試聴する
posted by replicant at 22:35| Comment(1) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。