2007年03月28日

SKILLET [Comatose]

B000I0QJI4Comatose
Skillet
Lava 2006-10-03

by G-Tools


昨年リリースされながら私も全くノーマークだったバンドSKILLETは、これまでも日本発売がないバンドで男女2人ずつの4人組です。本作からのシングル曲[Rebirthing]をバンドのサイトで見てその即効力のあるメロディーに釘付けになりそのままアマゾンで注文してしまったアルバムです。[Rebirthing]だけを聴いた印象ではEVANESCENCEやラップを取り除いたLINKIN PARKといったマイナーキーを得意とする今時のバンドといった印象でしたが、アルバム全体を聴いてみると、すべての曲に耳を惹き付けるフックが存在し、凝ったヴォーカルアレンジや整理整頓されたサウンド(ややオーバープロデュース気味か)から80年代末期のハードロックバンドを想起させます。ヴォーカリスト、ジョン・L・クーパーの声質がHAREM SCAREMのハリー・ヘスにそっくりなこともあってか1st、2ndの頃のHAREM SCAREMらしい雰囲気が多分に感じられました。もちろんそこにProToolsで切り貼りした様々なテクスチャーが現代のバンドであることを主張してきますし、PVではギター、キーボードもこなしているコリー・クーパー(ジョンの奥さん?)のサブヴォーカル的な味付けがそれを決定づけています。プロデューサーは今や売れっ子コンポーザー/プロデューサーのブライアン・ハウズ。HINDERDAUGHTRYで結果を出しているブライアン・ハウは今回も楽曲、サウンド(ミックスはデイビッド・ボトリルとクリス・ロード・アルジ!)両面で良い仕事をしています。すべての曲があまりにそつなく、完成度が高いので、現代版産業ロックと言いたくなってしまいますが、すべてが収まるべきところに収まっているという意味では非の打ち所のない、捨て曲なしの高水準アルバムと言えるでしょう。
しかし、気になるのはこれほどの完成度を誇りながら日本はおろか、アメリカ本国でもそれほどセールス面で成功していないということです。ミュージックシーンでの成功にはバンドの質の他にもレコード会社、マネージメント、タイミング等が複合的絡んでいるのですが、トレンドの終焉とともに多くのバンドの息の根を止めてきたアメリカ音楽ビジネスの悪しき習慣の犠牲になるとしたらあまりにも悲しすぎます。以前の作品を聴く限り若干ヘヴィロック臭が強かったものの本作では完全にメロディーオリエンテッドな曲作りにフォーカスしており絶対きちんとプロモーションすれば日本で大ヒットすることは間違いないと思うのですが・・・興味を持った方はとにかく試聴してみてください。

試聴する
posted by replicant at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月19日

THE ANSWER [Rise]

B000FIH4ZQRise
The Answer
Alberts 2006-06-26

by G-Tools


この北アイルランド出身のTHE ANSWERを聴いてTHIN LIZZYやLED ZEPPELINに辿り着く若いロックファンはおそらく沢山いるでしょう。コーマック・ニーソンから放たれるエネルギーはブリティッシュ・ロックの正統な継承者であると高らかに謳い、アルバムは一度聴いただけで流行色で彩られた他のバンド達を矮小化させてしまう(困った事に自分が大好きなバンドまでもが遠くかすんでしまう)、THE ANSWERのロックはそんな気高いブリティッシュ気質に満ちあふれています。まるで70年代から抜け出してきたようなルックスとサウンドはLED ZEPPELIN、FREE、WHITESNAKE等のバンド達の血統証付きであると主張しているような感じです。スタイルの継承のみならず、曲のクオリティーも非常に高く、ブルージーでパワフル、そしてニーソンの歌の魅力を最大限に引き出す“古き良きロック”を体現する楽曲群は現代のバンドであることを忘れてしまいます。英国を中心にすでに有望な若手バンドとしてかなりの評価を受けているらしいのですが、欧米に比べてこういう種類のロックが受け入れられる土壌が比較的小さい日本でどのように受け入れられるのか、ロックシーンを盛り上げる存在になるのか、また上に挙げた先人達やBLACK CROWSあたりを思い浮かべられる世代はともかく、こういうサウンドに初めて触れる10代のリスナーは彼らのようなサウンドをどのように受け止めるのか非常に興味深いところです。

ロックシーン全体を見廻してもヴォーカリストの才能は70年代、80年代に比べて枯渇していると言えます。だから余計に彼の歌唱のような情熱と技術を併せ持ち、それらを同居させる術を心得た素晴らしい才能には畏敬の念すら抱いてしまいます。

昔々、私にとってGUNS N' ROSESの1st[Appetite For Destruction]は理解するのに時間がかかったアルバムでした。雑誌では軒並みべた褒め、ビデオもヘヴィーローテーション、しかしまだ子供だった私が聴いた印象はそれほど即効性のあるものではありませんでした。それが聴いているうちに今まで弛緩していた感性がゆっくりと溶解してとんでもない傑作であることに改めて気付き、今思えば価値観すら変えてしまった私の中でも数少ないアルバムとして聴き続けています。
THE ANSWERをGUNS N' ROSESと並べるつもりは全くありませんが、ニーソンの歌唱は今ロックを聴く若いファンに温故知新の旅に出る扉を開けさせるきっかけを作る事の出来るバンドであると言えるでしょう。素晴らしい!!

試聴する
posted by replicant at 00:33| Comment(2) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月08日

36 CRAZYFISTS [Rest Inside The Flames]

36crazyfists-restinsidethef.jpgREST INSIDE THE FLAMES
36クレイジーフィスツ
ロードランナー・ジャパン 2006-11-15

by G-Tools



前作[A Snow Capped Romance]で一気にその名を広めたアラスカ出身の36CRAZYFISTSの3rdアルバム。ハードコア、ヘヴィロック、メタル、スクリーモなどが思い浮かぶアタック感の強いサウンドと彼ら特有の愁いを帯びた歌メロが絶妙なマッチングを見せていた前作は、ここ日本では全く話題にならないのが不思議で仕方ありませんでしたが、アルバム通して楽曲の完成度が高いとてもいいアルバムで個人的にも長い間楽しめたアルバムでした。
本作も基本的に前作と同様の流れにあり、アラスカの厳しい寒さをしのぎながら短い春をじっと待つ、そんな感情風景が表れたかのようなギターのクリアトーンとディストーションの絡み、一層自信を付けたブロック・リンドウ(Vo)の切れ味鋭いスクリームと伸びやかでいて突き刺さるようなメロディーヴォーカルは今回も素晴らしいアンサンブルを聴かせ、前作より若干メタル寄りのギターリフが増えたせいか、テンションの高いスクリームの割合が増えた印象です。
(1)I’ll Go Until My Heart Stopsは今までの彼らにはなかった明るい印象を与える曲ですが、前作の1曲目At The End Of August同様つかみはOKといった曲で、明るいヴァースからいつもの陰りのあるコーラスへの変化が面白い曲。メタルっぽい(4)Elysium(6)Midnight Swimは一緒にツアーしてきたバンドたちの影響でしょうか。(4)にはKILLSWITCH ENGAGEのハワード・ジョーンズも参加。どっちがどっちなんだか判らないが(笑)それだけリンドウのヴォーカルにも迫力が出てきたということなのだと思います。
ヘヴィ系ならどんなバンドともツアー出来る間口の広さもあるので、同じレコード会社だしKILLSWITCH ENGAGE辺りと来日を切に願います。

試聴する

posted by replicant at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月20日

RAMMSTEIN [Volkerball: Bildband Limited Edition]

B000JKA0B0Voelkerball: Bildband
Rammstein
Universal 2007-01-02

by G-Tools


純粋なライブ盤ということでは[ベルリン・ライブ]以来の作品である[Volkerball]はフランスはニームでのRAMMSTEINがいかに熱狂的に受け入れられているかを克明に記録した作品であるだけでなく、彼らの楽曲の良さ・ライブでの演奏能力の高さ・“RAMMSTEIN”というエンターテイメントの他に類を見ない完成度の高さを示してくれる最高のパッケージとなっています。
私はブログの記事カテゴリにRAMMSTEINを作ってしまうくらい彼らのことが好きなので、今回はアマゾンで約1万2000円という些か暴力的な価格設定がなされていたLimited Editionを迷わず購入。届いたダンボールの予想外のデカさと重さに驚きながら箱を開けると変型A4サイズ、190ページに及ぶ豪華な写真集が現れ、表紙の裏にCD2枚、DVD2枚がはめ込まれている仕様。写真集はツアーでのライブシーンよりもむしろそれ以外の様々なシーンを収めており、オフにくつろぐメンバーや純粋なアートと言えるものまで様々な写真を楽しめる正に豪華版です。
本編であるニーム公演の模様は、ここ日本の地では到底実現の見込みがない会場の規模、フルスペックでのライティングや火を使った演出(演出に関しては2005年の来日公演でも85%程度は再現されていたが)、それに熱狂する一体となった数万人のファンなどヨーロッパでの彼らのバンドとしての規模のデカさに圧倒されながら観ていると、現地でこれを体験したいという抗いがたい羨望の中に、日本ではバンドのプロモーションが全くなされていない状況への憤りという不純物が混入している事に気付き、どうにかしたい、もっと多くの人にRAMMSTEINを気に入って欲しい、なんて欲求までも膨らんでくる最高の出来です。それは裏を返せば私自身のRAMMSTEINのライブに対する飢餓感でもあるのだと思う。

Flash Card(トレイラーのようなものが見られます)
posted by replicant at 00:51| Comment(0) | TrackBack(1) | RAMMSTEIN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月16日

Hinder [Extreme Behavior]

B000B7QOR0Extreme Behavior
Hinder
Universal 2005-09-27

by G-Tools


新人ながら既にシングル曲(8)Lips Of An Angelが大ヒットし、アルバムも200万枚に到達するHINDERのデビューアルバムです。アメリカでは既に発売から1年以上経っていますが、このシングルヒットによりロングセールスを続け、国内盤発売に漕ぎつけました。
仮に80年代にデビューしていればおそらく産業ロックと揶揄されるようなサウンドですが、90年代のグランジ・オルタナティブという時代のフィルターを通過したことによって、アメリカの広大な大地を想起させるアメリカン・ハードロックは過度な装飾を取り払った良質なメロディーをダイレクトに伝えるアレンジで貫かれた楽曲群で、この分野ではNICKELBACK以来久々に登場した才能といえるのではないでしょうか。ヴォーカルの埃っぽく、いがらっぽい声質で好き嫌いが分かれそうですが、とりわけ郷愁を誘うメロディーの前にそんな事はどうでもよくなってしまうでしょう。地味な音色の中にメロディーの心地よさを見つけながら聴いて行くことを強いられるので、第一印象は目立ちませんが何回も聴いているとどの曲も耳に馴染んでくるといった印象です。
そしてまだ(6)Better Than Meというキラーチューンがこれからシングルカットされることを考えるとまだしばらくはチャートを賑わすアルバムとなりそうです。
最近には珍しくルックスも気を使っていて(ルックスが悪いバンドばかりという訳ではありませんが、見た目に気を使わない連中が多いと思いませんか?)女性ファンも呼び込めそうです。

試聴する
posted by replicant at 22:46| Comment(0) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月11日

I Am Ghost [Lover's Requiem]

B000I2IRLELovers' Requiem
I Am Ghost
Epitaph 2006-10-10

by G-Tools


ゴス+スクリーモな新人バンドによる1stフルアルバム。以前のミニアルバム[We Are Always Searching]がなかなか良かったので本作も期待していましたが、期待以上の出来。以前よりメタル度が若干増量し、タフになったサウンドにゴス風味の暗くせつない歌メロが絡む、ありそうでなかったタイプです。バイオリンが担当楽器の女性がヴォーカルも兼ねており、メインヴォーカルのスティーヴン・ジュリアーノとの絡みが“天使と悪魔”のようなとても良い対比と相乗効果を生み出しています。
スティーブンの歌いまわし、女性ヴォーカルの声質、前のめりな曲調とダークな歌メロなどの特徴を聴いて総合するとBLEEDING THROUGH+LACUNA COIL+MY CHEMICAL ROMANCEと形容できるかもしれません。
ゴス風味を醸し出す大きな役割を担っているのがその紅一点ケリス(Vo&Vio)の存在でしょう。単体のバイオリンが鳴らす悲劇的で情熱的で孤独感を煽る音色は、あくまでヴォーカル主体の曲に重要な1ピースを添えており、彼女のヴォーカルはLACUNA COILのクリスティーナ・スカビアに似て(あそこまで扇情力があるわけではないが)いて、曲によっては彼女がメインを張りアルバムが単調な一本道にならないための鮮明な道標となる重要な存在です。ストレートでエッジーな曲でもメロウな曲でも彼女のバイオリンやヴォーカルなどのテクスチャーが加わるとその楽曲の印象深さが変わる程で、こういったバンドのストロング・ポイントを生かすためにもメインヴォーカルのスティーヴンにはもう少し頑張って欲しいところです。
それにしても楽曲のクオリティーの高さは他の平均的なスクリーモ系バンドを完全に圧倒するものだし、第一印象の良さを聴くうちにさらに良いものに改めさせる内容の濃さは新人の成熟度からはかけ離れたものです。

試聴する
posted by replicant at 23:47| Comment(4) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月09日

Daughtry [Daughtry]

昨年中に買っておきながら忙しさのあまり、まだ聴いていないアルバムが増えてきたので、普段よりサクッと紹介します。文章にする時間がないだけで、決してこれらのアルバムを軽視しているわけではないので、これまで同様の推薦盤です。

B000K2QL7Yドートリー
ドートリー
BMG JAPAN 2007-01-24

by G-Tools

アメリカン・アイドルというオーディション番組で注目されたクリス・ドートリー率いるバンド名義によるデビューアルバム。スキンヘッドで武骨なルックスからは想像できないような滑らかで良く伸びる声量と誠実さを帯びた声音が心地よいクリスのヴォーカルを中心に据えた大らかなハードロック(AOR風という言葉が通じるかわかりませんがそのような雰囲気)をやっており、シングル(1)It's Not Overに代表されるようにNICKELBACKとMATCHBOX TWENTYを掛け合わせたようなサウンドです。ブックレットにはクリス以外のメンバーも写っていますが、クレジットを見る限りバンドとしての活動はアルバム発表後からのようで、演奏陣はロックファンなら1度や2度は聴いた事のある腕利きミュージシャンの名が並び、コンポーザーについてもミッチ・アラン(SR-71)、ベン・ムーディー(EVANESCENCE)等などヒット曲を持っている人達が固め、そしてプロデューサーは現在売れっ子No,1プロデューサーのハワード・ベンソン・・・レコード会社の猛プッシュぶりが良く伝わってくる人選です。実際、その期待に違わぬ素材を生かした上での彼らの仕事っぷりは見事です。
ロックとして熱いか?と聞かれればそういうタイプではないと思いますが、クリスのヴォーカルに身を委ねて、伸び伸び歌う様に心惹きつけられる楽曲群はどれも並外れたものなので、これらが次々とシングルカットされると1年後もアルバムトップチャートに入っている可能性すらあります。特に(1)It's Not Over(2)Used To(3)Home(4)Over Youは素晴らしい出来!

試聴する
posted by replicant at 23:11| Comment(0) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月04日

MY CHEMICAL ROMANCE [The Black Parade]

B000JLSVH4ザ・ブラック・パレード(初回限定盤)
マイ・ケミカル・ロマンス
ワーナーミュージック・ジャパン 2006-12-06

by G-Tools

前々作[I Brought You My Bullets You Brought Me Your Love]が出たとき、数年後このバンドがこのような作品を出すと誰が予想したでしょうか。前作[Three Cheers for Sweet Revenge]は私にとって(おそらくこうしたパンクやスクリーモを愛する全ての人達にとっても)衝撃的な傑作でした。パンク、エモ、スクリーモのいいとこ取りと評されたサウンドは当時蔓延っていたポップパンク勢を蹴散らす大胆さ・不敵さを放ちながら、スクリーモ系バンドがいまいちブレイクしきれない最大の要因であった聴きづらいスクリームを排除しながらもエッジを失わないジェラルド・ウェイの個性際立つヴォーカルが素晴らしく、元々持っていたポップセンスもハワード・ベンソンのプロデュースによってシンプルな曲構成の中でもその持ち味を発揮出来るまでになり、バンドの知名度を上げる事になる幾つものキラーチューン((1)Helena(4)You Know What They To Do Guys Like Us In Prison(5)I'm Not Okay (I Promise)(6)The Ghost Of You(9)Thank You For The Venomなど)を生み出しました。最近では珍しくロングヒットとなった前作は今までのところ100万枚以上売れており、本作はそうした期待の中発売される彼らにとって3枚目のアルバムとなります。

本作は(5)Welcome To The Black Parade1曲のためにあるようなアルバムではありませんが、それでもやはりこの曲の突出した完成度はアルバムの中で群を抜いていると言わざるを得ません。その1音で聴き手の耳を惹きつけるピアノ、マーチングバンドに乗ったイントロからMY CHEMICAL ROMANCEの何たるかを一気に爆発させ、エンディングでは本作のキーワードのひとつであるQUEENへのオマージュで締めくくる彼らの新しいアンセムはバンドの代表曲として愛され続け、10数年後にはクラシック・ロックになっているだろうことが容易に思い浮かべられるような名曲です。私はこの曲以外にも(8)Cancer(9)Mama(10)Sleep(11)Teenagersのまるで全然違うバンドの曲を集めたかのような楽曲をジェラルドの声が繋ぎとめている様な展開も気に入っています。
本作は明確な意味でのコンセプト作ですが、出来た曲に共通のテーマを見出し歌詞やメロディーを付けていったそうで、楽曲の方向性はこれまでのMY CHEMICAL ROMANCEと比べてさらに多岐(前述のQUEEN以外にも現在も普遍的なロックと同義語であるKISS、AEROSMITH等からの影響が色濃くにじみ出ている)に渡ります。それでも前作が遠くかすんでしまう様な突き放した感じがなく、前作のファンが自分の好きなMY CHEMICAL ROMANCEを確認できるのは、それはやはりジェラルド(彼はどんどん上手くなるというよりスティーヴン・タイラーのように独自の領域を築きつつある)の強烈な個性とこのバンド特有の艶のあるメロディーの継承に他ならないでしょう。
何も考えずに楽しむことも出来るし、歌詞を理解しより深くアルバムを楽しむことも出来る息の長い作品として聴きこむことが出来る、そんな作品であると感じました。
そしてなによりこのバンドがこのアルバムで成し遂げそうなこと、と期待しているのは、現代の細分化したロックマーケットにおいて久々にジャンルの壁を越えて評価される存在になるのではないか、ということです。今はその気になれば人はどんな情報でもインターネットを介して手に入れることが出来てしまいます。それは裏を返せば自分の必要な情報のみ手に入れてしまうとも言える訳で、リスナーがジャンルの壁を越えるのは何かしら大きなきっかけが必要なのだと思います。そんなリスナーの持っている壁を溶解してしまう力(懐の深さ)に漲っている本作の出来が正当に評価されればロックシーンの中でとても重要な位置に登りつめても何ら不思議なことではありません。

試聴する
posted by replicant at 00:33| Comment(2) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月24日

Red Jumpsuit Apparatus [Don't You Fake It]

B000G0MI86Don't You Fake It
The Red Jumpsuit Apparatus
Virgin 2006-07-18

by G-Tools


またひとつ有望な新人の登場です。フロリダのジャクソンヴィル出身の5人組でこれがおそらくデビューアルバムになります。そのサウンドは例えるならWAKING ASHLANDのジョナサン・ジョーンズ(Vo)がバンドにSTORY OF THE YEARを従えて自らフロントに立ち、歌っているようなサウンドで、美しいメロディーの瑞々しさとSTORY OF THE YEARなどスクリーモ系が持つドライブ感を併せ持つのが特徴です。ジャンル分けすればエモ/スクリーモに分類されるバンドですが、曲を1回聴いただけで口ずさめるようなポップなヴォーカルメロディーと適度にハードな質感を帯びたギターを中心としたサウンドが心地よく、ポップフィールドに進出できる程の普遍的な魅力に溢れたロックバンドと言えるでしょう。
特に(1)In Fate's Hands〜(6)Cat And Mouseの流れは素晴らしく、飛び跳ねるような若々しさと、どうしたって耳から離れない甘くせつないメロディーの洪水で時間が経つのも忘れてしまうくらいです。どの曲もシングル候補となるようなキャッチーなメロディーが存在し、なおかつそのどれもが幾つもの色彩を表しており、似たような歌メロにならない曲作りをすることが出来る器用さを持ち合わせた新人という意味で同系統のSAOSINに並ぶ存在ではないかと思います。
シングル曲(4)Face Downは1度聴けば“アルバムを聴いてみよう”と思わせるだけの十分な引力を備えているアルバムのハイライトとなる曲ですが、他にも(3)False Pretense、(8)Atrophyなど同等の魅力を備えた曲が並び、アルバムを聴き終わると再び再生ボタンを押さずにはいられない中毒性を持っています。

ただひとつ気になるのは申し訳程度に挿入されるスクリームの貧弱さでしょうか。取ってつけたように苦しそうな声音で挟まれる叫び声はせっかく素晴らしいメロディーがあるのにそれを興ざめさせる効果しか得られていないように思います。(実際にも(4)Face DownのPVではそのわずかなスクリームを編集でカットしたバージョンになっている。)

このアルバム、国内盤の発売が2月末に決まりましたが最近は良いバンドでも国内盤のリリースが見送られたり、大幅に遅れる事も多々あるので、もし試聴して気に入ったのなら輸入盤を購入してしまった方が良いと思います。国内盤の発売を待っている間に購入欲がそがれ、新たなCDへと気持ちが移りこのバンドの存在が埋もれてしまうのはもったいない事だと思うので。SAOSINとのセットでの来日願!!

試聴する
posted by replicant at 22:41| Comment(2) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月13日

2006年が終わりました。

あっという間に2006年を振り返る時期になったことに焦燥感を感じずにはいられませんが、このブログのスタートがちょうど1年前で私的2005年のベストアルバムを載せています。2005年は大物バンドのリリースも多く、ハイレベルな作品が多かった中、解散という衝撃とバンドのポテンシャルを超越した最高傑作[The Funeral Album]で全て持って行った感のあるSENTENCEDが最も素晴らしく、記憶に残る作品であったと感じます。
2006年は大物の作品のリリースは少なかったものの、2005年ほどではないにしろ多くの素晴らしい作品がリリースになり、全体的には豊作の年だったと言えるのではないでしょうか。
そこで今年も2006年を振り返り私個人的に良かったアルバムをいくつかあらためてここに挙げてみたいと思います。順位は付けられませんが、特に良く聴いたアルバム達です。

KILLSWITCH ENGAGE [As Daylight dies]
 昨年最も良かったのはこのKILLSWITCH ENGAGEのニューアルバムです。本来アンダーグラウンドな音楽であったヘヴィメタルが市民権を得て最も隆盛したのはいつのことでしょうか?このアルバムはメタルを再び音楽シーンの最前線へ運ぶだけのポテンシャルを持った、恐ろしく高いポピュラリティーを持ったアルバムです。聴く度に勇気が湧き力漲る滋養強壮アルバム。

PROTEST THE HERO [Kezia] 昨年目立ったWOLFMOTHER、ROADSTAR、THE ANSWER、SAOSIN、Red Jumpsuit Apparatusなど勢いのある若手バンドの中でも特に個人的に気に入ったのがこのPROTEST THE HERO。プログレッシな展開と豊かなメロディーが絶妙で◎。プログレッシブメタルとハードコアが50%ずつではなく100%で主張しあう。

AMORPHIS [Eclipse]
大幅なメタル度復活によってAMORPHISへの期待度を全ての面で上回った会心作。正直ここまで良いとは全く予想出来ませんでした。新ヴォーカリストの持つエッジも今の音楽性を十二分に引き立てている。ファンのこのバンドに対する理想形とバンドのやりたい事が見事に合致した幸福な1枚。SENTENCED亡き後は彼らに期待するという人も多いのでは?

SAOSIN [SAOSIN]
新人ながら高い音楽性と素晴らしいメロディーメイカーぶりでエモ/スクリーモ界に新風を吹き込む存在感。透明感ある歌声とバンドのアンサンブル(ドラム!!!!!!)が素晴らしく、泣きメロのオンパレードに思わず涙腺がゆるむ。やっと国内盤も発売!!

BLIND GUARDIAN [A Twist In The Myth]
 あからさまな路線変更はせずとも新しいことにチャレンジしつつ、これまでバンドが築きあげたクオリティーを全く損なわない楽曲群はさすがです。メンバーの野暮ったいイメージ(失礼!)で損をしているようで、もっともっと人気が出ていいはずの音楽クオリティー。

TRIVIUM [The Crusade] ヴォーカリスト・マットの才能が開花。全方位型メタルに近づいた。今回も若々しく勢いのある作品だが、細かなリフ展開、豊かな歌メロ等格段に成長している。彼らにメタルの未来の一翼を担ってもらわなければと勝手に確信した1枚。

IRON MAIDEN [A Matter Of Life And Death]
 最初は平坦に聴こえるが聴き込む毎に深みを増す作品。その聴き込みに疲労を感じさせないだけの求心力を持っており、今回も全く衰えないB・ディッキンソンのヴォーカルは恐ろしい。

IN FLAMES [Come Clarity]
 現在の世界的なメタル景気の立役者のひとりIN FLAMES。アメリカのモダンなサウンドを完全に自分たちのモノにした自信漲る作品。いまだにデビュー時からの暴虐性と叙情性に磨きがかかっている。

SCAR SYMMETRY [Pitch Black Progress]
 基本的に前作踏襲ながらヴォーカル、クリスチャン・アルヴェスタムの変幻自在の歌いっぷりが見事。痒いところに手が届いてしまう多彩な楽曲やギターソロも素晴らしい。

TOWERS OF LONDON [Blood Sweat & Towers]
パンクの初期衝動とわかりやすいコーラス、風貌等全てが聴いた者の目、耳を捉える。太く短い活動が予想される(!?)だけに次作には大化けを期待したい。

STONESOUR [Come What (Ever) May] 正直、コリーがこのバンドについて熱く語っている様やこのアルバムの充実ぶりを考えるとSLIPKNOTの将来すら危惧してしまいます。コリーの歌心を存分に楽しめる素晴らしい楽曲満載の1枚。名曲Through Glassだけのアルバムではない。

他にも例えばMY CHEMICAL ROMANCEの[The Black Parade]やRed Jumpsuit Apparatusの[Don't You Fake It]、36 CRAZYFISTS[Rest Inside The Flames]などは聴き込みの時間が足りず次点としますが、どれも本当に素晴らしい内容なので近いうちに更新したいと思います。
挙げればキリがありませんがWolfmother[Wolfmother]ROADSTAR[Grand Hotel]LOSTPROPHETS[Liberation Transmission]Bullets And Octane[In The Mouth Of The Young]ANGRA[Aurora Consurgens]、The Answer[Rise]などもとてもいい出来で常にヘヴィーローテイションでした。
The Answer[Rise]は満を持して国内盤が発売になりますが、近年まれに見る並外れた能力を持つヴォーカルのコーマック・ニーソンはぜひ今年中にライブで観たい1人です。

今年は大物(METALLICA、MEGADETH、JUDAS PRIEST、GUNS N' ROSES!?、VELVET REVOLVER)のアルバムが多く出ます。その合間にもまた昨年同様たくさんの秀作に出会えることを願ってやみません。
posted by replicant at 00:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。