2008年03月01日

AVENGED SEVENFOLD [AVENGED SEVENFOLD]

B000VI6Z5Aアヴェンジド・セヴンフォールド
アヴェンジド・セヴンフォールド
WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M) 2007-11-07

by G-Tools

メジャー移籍第2弾となる本作は今まで1枚たりとも同じような作品をリリースしていないAVENGED SEVENFOLDの作品の中でも最も飛躍した内容となっています。これまでの彼らの作品は1曲の中に4,5曲分の要素が詰まったような複雑さをヴォーカルを中心としたメロディーの濃さ、わかりやすさでコーティングしてアメリカのバンドとは思えない仰々しさを前面に押し出し、メタルコア景気で賑わっていたアメリカ市場でも特筆すべき個性とライブパフォーマンスが評価され、一躍メタルシーンの未来を担う存在と言われるまでに成長してきました。
前々作[Waking a Fallen]制作時からスクリームすることに多少違和感があったという彼らはオーセンティックなメタルにアメリカのバンドらしいドライブ感とGUN'S N' ROSESに代表されるダーティーなロックを融合したスタイルで[City Of Evil]を発表し瞬く間にメタルファンの心を捉えました。
こういったメタルバンドのアルバムが100万枚売れたこと自体、今の音楽シーンの流通事情を考えれば異例のことですが、内容的に一定方向でのあらゆる可能性を追求し尽くした感のある[City Of Evil]だけに個人的には新作がどういった方向性になるのか非常に期待していました。

新作を聴いた瞬間私は確信しました。アメリカから久しく出てこなかった規格外のバンドである、と。
メタル専門誌BURRN!でも軒並み高評価を得たようにすでに本作が“成功したアルバム”であることは周知の事実です。曲のクオリティーはどれも高く、一切の無駄が無く、どの曲も早送りできない完璧な配置でラストまで一気に駆け抜けるジェットコースターアルバム。聞き手を程よい疲労感とどうしようもない飢餓感に落としいれ、もう1度と思わずにはいられない間違いようのない傑作。粗製乱造されるレコード会社の駒になることを強烈に非難しているようにも聴こえる強烈な求心力に満ちたサウンドです。密度200%だった前作と比べると音に隙間を作ることでタメができ、強烈なグルーヴを生み出し、楽曲により即効性のある殺傷能力を植えつけています。これは予定調和の過剰摂取でファンの耳を腐らせないという意味で非常に優秀で野心に満ち溢れたバランス感覚と言えると思います。それを象徴するのが(1)Critical Acclaim(2)Almost Easy(3)Screamの3曲ですが、BLACK LABEL SOCIETYのような南部テイストで始まり叙情的なサビが繰り返される(5)Gunslinger、彼らお得意の典型的なメロディック・スピード・メタルかと思いきやサビは80年代のBON JOVIのようにポップでしかもDAFT PUNKのようなヴォーカル・エフェクトが気持ちいい(8)Lost、奇妙奇天烈な彼らの頭の中を覗き込んだかのような錯覚を覚える意欲作(9)A Little Piece Of Heaven、(1)〜(9)までの横揺れ、縦揺れで乱れた髪に乾いたそよ風を運んでくるような(10)Dear God、特に(10)はカントリーソングで我々日本人がもっとも受け入れがたい音楽ジャンルの一つだが、私はとても気に入りました。BON JOVIのニューアルバムは自らのフィールドにカントリーのエッセンスを取り入れて中途半端な印象しか残さなかったのに対し、AVENGED SEVENFOLDは完全にカントリーのフィールドに自らを放り込んでいる思い切りの良さ、若さが感じられる。両者のとったスタンスの違いは微妙な違いですが私の曲に対する印象は相当な差があります。
本作に対してひとつ不安があるとすればコアなメタルファンは彼らの軸足をメタルに置きながらも放射状に広がった新作の音楽性をどこまで受け入れられるのか、ということです。
(8)Lostにヤワなアレンジだと中指を突き立てるだろうか?(9)A Little Piece Of Heavenを悪ふざけが過ぎると眉間にしわを寄せるだろうか?(10)Dear Godをボーナストラック扱いできるだろうか?大成功して欲しいアルバムだけに余計な心配もしてしまいます。
“立ち止まらない”ことを公言しているバンドだけに本作も“今”の彼らのスナップショットであり、それがたまたまメタルの未来を変えるかもしれないベストショットだったということ。次作はもしかしたら我々にはボヤけて映る作品を作るかも知れません。しかし近年メタル界にこれほど“進化”という言葉を意識させるバンドがいたでしょうか?昨今のIRON MAIDEN回帰、METALLICA回帰で純度を増してきたシーンの中で突出した存在感を放ち始めているAVENGED SEVENFOLD。彼らには今しばらくシーンの先頭を突っ走ってもらいたいのです。シーンの異端児ではなく。

そして本作を語る上ではずせない重要な要素を担っているのがレヴ(Dr)のヴォーカルです。以前からライヴでは歌っている姿は確認できたものの、本作で初めてレコーディングから歌入れに参加し、とても重要なパート、印象に残るパートを素晴らしい声で歌い上げています。特に(1)Critical Acclaim(9)A Little Piece Of Heavenでの貢献は計り知れません。もしかしたら次回作ではレヴが1曲丸々歌いきる楽曲が登場するかもしれませんね。そうすればライブでM.シャドウズ(Vo)が休めるから90分以上のライブが見られるかも!

posted by replicant at 03:06| Comment(4) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
今作もバラエティ豊かなサウンドで攻めてくる力作ですね♪
彼等の音楽の引き出しは予想以上に広く深いものだと、実感させてくれるアルバムだと思います。
ライヴに行ったとき新作を4曲演奏してましたが、どれもライヴ映えしてたのが印象的でした。
私としては、断然このアルバムを支持します!
Posted by Airy at 2008年03月01日 17:12
Airyさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。

私も今年1本目のライブは彼らの新木場スタジオコーストでしたが良かったですねぇ〜新曲が。

今年のTaste of Chaosツアーのラインナップでの再来日に期待したいですね。
Posted by replicant at 2008年03月01日 18:32
こんにちは。入魂の記事、楽しく拝見しました。その分析力に嫉妬です(笑)。

僕は前作から入ったクチですが、本作のほうが断然好みですね。自分がけっこう保守的なHR/HMリスナーだとの自覚はありますが、そんな僕をも唸らせるあくなき音楽的冒険と高い完成度の両立に驚きました。カントリー・ソングで感動したのもこれが初めてです(笑)。

とは言え、僕がA7Xというバンド自体のキャラクターやアティチュードに深く入れ込めるかどうかはまだ不透明ですが、この自由奔放な想像力と実行力は確かに貴重です。臆することなく突き進んで、次回作でもまた僕たちをあっと言わせてほしいものですね。
Posted by むーじゅ at 2008年03月05日 11:05
むーじゅさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

実験好きなAVENGED SEVENFOLDですが、良い楽曲かどうかの判断基準が“メロディー”に比重が置かれているため的外れな方向転換にはならないのでしょうね。
私は彼ら自身がつまらないと切り捨てる1stから聴き続けていますが、その変遷は80年代のMOTLEY CRUE的だと感じることがあります。褒めすぎでしょうか?

>入魂の記事、楽しく拝見しました。その分析力に嫉妬です(笑)。

むーじゅさんのようにこのバンドをご存知の方が記事を読んで楽しんでくれたり、バンドを知らない人が記事を読んでAVENGED SEVENFOLDに興味を持ってくれたなら私の試みは大成功です(笑)。
Posted by replicant at 2008年03月05日 16:07
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/87769269

この記事へのトラックバック

メタルの枠を超えたAVENGED SEVENFOLD : Avenged Sevenfold
Excerpt: え〜、AVENGED SEVENFOLD (A7X)の新譜をフラゲしてから、かなり聴きまくってます。 というか、一回聴くとなぜだかもう一回聴きたくなるという、何とも不思議なスルメ盤なんです(^^; ..
Weblog: Spirit In The Sky
Tracked: 2008-03-01 17:15
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。