2007年06月13日

LINKIN PARK [Minutes To Midnight]

B000O76PR6ミニッツ・トゥ・ミッドナイト
リンキン・パーク
ワーナーミュージック・ジャパン 2007-05-16

by G-Tools


オリジナルフルアルバムとしては[Meteora]以来4年ぶりとなるLINKIN PARKの[Minutes To Midnight]はかねてからの噂通り劇的なスタイルの変化を伴った意欲作となっています。今までの彼らは良い音楽とは何か?を自分たちなりに考える時、作り込みの中で鮮やかなテクスチャーを求める傾向にあり、1曲には膨大な情報量が納められ殆ど隙間がない音楽、といった印象でしたが、同じ事を繰り返したくないという自分自身への新たな可能性という飢餓感に後押しされた結果、サウンド構築する上での“引き算すること”を身につけたLINKIN PARKは雄大に広がる“これから”の大きな可能性と前2作に対する強烈な郷愁感が渦巻く作品となりました。
劇的な変化と言いましたが、それはあくまでサウンドの話。彼らが得意としてきたマイナーキーを主体とした印象深いメロディーの数々は今回も変わらず魅力的です。マイク・シノダのラップヴォーカルの大幅な減少、数曲を除いて殆ど取り除かれたノイジーなギターリフやジョー・ハーンのスクラッチなど、彼らが世に出て来た時ラップメタルなどと呼ばれた要素は減退しハイブリッド感はほとんど感じられません。一方でオーバーダブを少なくし各楽器がどんな演奏をしているのかを明確にして今まで以上にヴォーカルメロディーを表に出した空間的なアレンジはハイブリッド感どころかロックであるという型にすら制限されない開放感に満たされています。
プロデューサーがリック・ルービンということで沢山曲を書くよう即された結果ここまで異なるヴァイヴを持った楽曲が揃ったのだろうと予想出来ますが、本人達が“前作までのスタイルの可能性はもう全てやり尽くした”という通り足枷が外れたかのようにバラエティー豊かな楽曲が揃い、型がはっきりしていたバンドだけに曲によってはあまりの飛躍ぶりにこれがLINKIN PARKのアルバムであると自分に認識させるのが困難なものもありました。ファーストシングルとなった(6)What I've Doneも第一印象は“地味”でしたが、アルバムの中で聴くとまた違った魅力を発散しており、どちらかと言うと金太郎飴的な印象があった今までの彼らの楽曲と比べるとアルバム・オリエンテッドになりそれぞれの曲がそこに収まるべき説得力を持っているように思います。

しかし、気まぐれな音楽シーンの中でも良質の楽曲という意味ではこれまでと変わらず高いクオリティーで存在感を示していますが、果たして前作、前々作を気に入っている1500万人のファンのうちどれだけの人がこの変化に共鳴出来るのかについては疑問が残ります。楽曲の力にかかっていると簡単に言うことは出来ますが、アルバム[Hybrid Theory]に12,3才で出会った人がいるとしたら、彼はまだ20才そこそこの若者なわけで、今回のアルバムの楽曲全てを気に入る聴き手としての懐の深さの有無や前作と全然違うという期待を裏切られた失望感によって本作をあるがままに受け入れられない力が働くということもあるでしょう。まだまだ聴き手の心の中で成長するアルバムだと思うので私の現時点での印象はこんな感じに留めておきます。今の私のお気に入りは(3)Leave Out All The Rest(5)Shadow Of The Day(6)What I've Done(12)The Little Things Give You Awayです。
1年後は本作がどう成長しているかを楽しみにしていたいと思います。


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posted by replicant at 23:22| Comment(2) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは〜。

今回は賛否両論どころか否定批判の雨霰ですよね・・・。個人的には最初からすんなり受け入れられました。不思議なほど。後からあれ今回ラップもヘヴィなギターも抑え目だなと思ったぐらいですから。今回も勿論素晴らしいアルバムだと思ってますが次のアルバムは大傑作になると思います。
Posted by zep at 2007年06月15日 20:05
zepさん、コメントありがとうございます。

本作に対しての否定的な意見、私もとてもよく理解できます。
アーティストにとってのアルバム制作は前のアルバムを出してから何年間かの日記のようなもの、と表現されることがありますね。長年音楽を聴くうちに前の焼き直しよりもそのアーティストがその何年間かの間に何を見聞し、考え方が変わり、そのアーティストの音楽の力点にどういった作用が働いたかを知りたい、という聴き方に変化してきたように思います。
そんな私には本作は十分興味深く、心地よいアルバムです。
Posted by replicant at 2007年06月15日 23:55
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