2007年05月08日

THERION [Gothic Kabbalah]

therion-gothickabbalah.jpgゴシック・カバラ
セリオン
トイズファクトリー 2007-01-24

by G-Tools


何もかもがエクストリームな方向に向かいかけていたロック/メタルのシーンにメロディの重要性(ギターの重要性も含む)が戻ってきたのはここ3〜4年のこと。そんな中このTHERIONもメタルの本来の姿を再確認するような世界的な“揺り戻し”の動きが少なからず影響したかのような新作を発表し、クラシカル路線変更以降かつて無い程の正統派メタルの勇壮なメロディーを取り戻し、試み続けたクラシック音楽との融合が絶妙なバランスで組み合わさった傑作となりました。
前作からその兆候があったとはいえ、近作でのクラシカルなアレンジへの傾倒ぶりはメロディック・スピードメタル勢とは異なるメタル的要素をどんどん削ぎ落としたものとなっていき、アルバム[Secret Of The Runes]では殆ど通常のヴォーカルのない荘厳なクワイアが全体を支配していました。しかし本作には前作に引き続き参加したマッツ・レヴィンの他“あの”スノーウィー・ショウも含め4人ものヴォーカリストを迎え入れ、男声女声、硬軟等を使い分けたヘヴィメタルらしいシアトリカルで叙情的なヴォーカルラインが全編を支配しています。以前のクラシック音楽との“融合”が本作のサウンドを見つけるためのものであったかのようなTHERIONにとっての完全なネクストレベルへの到達を果たしました。デスメタルバンドとしてスタートした事を考えるとその音楽性の成熟度も驚異的な進化と言えるでしょう。
前作と同様に2枚組で1曲あたりのパーツも多いことから、1度聴いただけだと味覚を伴わない満腹感に見舞われる人もいるでしょうが、聴き込む度にまるでトリックアートを見ているかのようにヴォーカルメロディーに絡みつく流麗なギターやクワイヤ、オーケストレーションなどが違った視点を次々に生み出す味わい深い作品であり、ますますTHERIONの世界に引きずり込む魔力を増した、そんな印象のアルバムです。私の中では早くも今年のベストアルバム候補として聴き込みアルバムになっています。

今回参加した4人のヴォーカリストはそれぞれの個性を生かした素晴らしい歌唱を披露していますが(引き続き参加した やマッツ・レヴィンもいい仕事をしている)、特筆すべきはKING DIAMONDやDREAM EVILのドラマーとして有名なスノーウィー・ショウのヴォーカルでしょうか。本作のメタルの本道を聴き手に意識させる邪悪でエキセントリックでありながら素晴らしい歌唱力に裏打ちされた彼のパフォーマンスは本作の中でも一際大きなシンボルとして異彩を放っています。正直、本作によって彼はドラマーとしてよりもヴォーカリストとして自信を付け、自らがフロントに立つバンドを始めるべきだと意識するかもしれません。いずれにしても今回のヴォーカリストの起用は大成功であり、本作の持っているメタルオペラ的発想を具現化する上での大変重要な役割を果たしいます。相次ぐメンバー交代やヴォーカル起用法をみてももはやパーマネントなバンドという形態にこだわっていないと思われるTHERIONですが今回はクリスティアン(g)の技術と情感を伴ったギターソロがとても素晴らしく曲の飛翔感をさらに高めています。
きめ細やかな構成力に富んだアレンジや欧州産メロディック・パワーメタルが好まれる日本ではこれまで過小評価されたきたTHERIONが今まで以上に評価される機会がやっと訪れたような気がします。今年のLOUD PARKに呼ぶべきです。
posted by replicant at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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