2007年02月04日

MY CHEMICAL ROMANCE [The Black Parade]

B000JLSVH4ザ・ブラック・パレード(初回限定盤)
マイ・ケミカル・ロマンス
ワーナーミュージック・ジャパン 2006-12-06

by G-Tools

前々作[I Brought You My Bullets You Brought Me Your Love]が出たとき、数年後このバンドがこのような作品を出すと誰が予想したでしょうか。前作[Three Cheers for Sweet Revenge]は私にとって(おそらくこうしたパンクやスクリーモを愛する全ての人達にとっても)衝撃的な傑作でした。パンク、エモ、スクリーモのいいとこ取りと評されたサウンドは当時蔓延っていたポップパンク勢を蹴散らす大胆さ・不敵さを放ちながら、スクリーモ系バンドがいまいちブレイクしきれない最大の要因であった聴きづらいスクリームを排除しながらもエッジを失わないジェラルド・ウェイの個性際立つヴォーカルが素晴らしく、元々持っていたポップセンスもハワード・ベンソンのプロデュースによってシンプルな曲構成の中でもその持ち味を発揮出来るまでになり、バンドの知名度を上げる事になる幾つものキラーチューン((1)Helena(4)You Know What They To Do Guys Like Us In Prison(5)I'm Not Okay (I Promise)(6)The Ghost Of You(9)Thank You For The Venomなど)を生み出しました。最近では珍しくロングヒットとなった前作は今までのところ100万枚以上売れており、本作はそうした期待の中発売される彼らにとって3枚目のアルバムとなります。

本作は(5)Welcome To The Black Parade1曲のためにあるようなアルバムではありませんが、それでもやはりこの曲の突出した完成度はアルバムの中で群を抜いていると言わざるを得ません。その1音で聴き手の耳を惹きつけるピアノ、マーチングバンドに乗ったイントロからMY CHEMICAL ROMANCEの何たるかを一気に爆発させ、エンディングでは本作のキーワードのひとつであるQUEENへのオマージュで締めくくる彼らの新しいアンセムはバンドの代表曲として愛され続け、10数年後にはクラシック・ロックになっているだろうことが容易に思い浮かべられるような名曲です。私はこの曲以外にも(8)Cancer(9)Mama(10)Sleep(11)Teenagersのまるで全然違うバンドの曲を集めたかのような楽曲をジェラルドの声が繋ぎとめている様な展開も気に入っています。
本作は明確な意味でのコンセプト作ですが、出来た曲に共通のテーマを見出し歌詞やメロディーを付けていったそうで、楽曲の方向性はこれまでのMY CHEMICAL ROMANCEと比べてさらに多岐(前述のQUEEN以外にも現在も普遍的なロックと同義語であるKISS、AEROSMITH等からの影響が色濃くにじみ出ている)に渡ります。それでも前作が遠くかすんでしまう様な突き放した感じがなく、前作のファンが自分の好きなMY CHEMICAL ROMANCEを確認できるのは、それはやはりジェラルド(彼はどんどん上手くなるというよりスティーヴン・タイラーのように独自の領域を築きつつある)の強烈な個性とこのバンド特有の艶のあるメロディーの継承に他ならないでしょう。
何も考えずに楽しむことも出来るし、歌詞を理解しより深くアルバムを楽しむことも出来る息の長い作品として聴きこむことが出来る、そんな作品であると感じました。
そしてなによりこのバンドがこのアルバムで成し遂げそうなこと、と期待しているのは、現代の細分化したロックマーケットにおいて久々にジャンルの壁を越えて評価される存在になるのではないか、ということです。今はその気になれば人はどんな情報でもインターネットを介して手に入れることが出来てしまいます。それは裏を返せば自分の必要な情報のみ手に入れてしまうとも言える訳で、リスナーがジャンルの壁を越えるのは何かしら大きなきっかけが必要なのだと思います。そんなリスナーの持っている壁を溶解してしまう力(懐の深さ)に漲っている本作の出来が正当に評価されればロックシーンの中でとても重要な位置に登りつめても何ら不思議なことではありません。

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posted by replicant at 00:33| Comment(2) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も前作を聴いた時はまさかこのような素晴らしいアルバムを発表するバンドだとは夢にも思っていませんでした。

かなり嬉しい誤算です。
マイケミをなめてました(笑)

彼らのようなメロディ−センス抜群のバンドが増えてくれる事を期待したいと思います。
Posted by ギル at 2007年02月04日 17:23
すでに始まっていることではありますが、スクリーモにしても、メタルコアにしても叫ぶパートの減少とメロディーの増幅傾向は今年もどんどん加速するでしょうね。

その中から良いものが少しでも多く生まれればと思います。

マイケミの場合、持っている引きだしの数が違うって感じで今後もどんな一面を見せてくれるか楽しみですね。
Posted by replicant at 2007年02月04日 21:19
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