2006年12月10日

Killswitch Engage [As Daylight Dies]

B000J103KMAs Daylight Dies
Killswitch Engage
Roadrunner 2006-11-21

by G-Tools

ヘヴィーメタルという狭義な音楽ジャンルの中にも様々な方向性やトレンドがあり、その中でKillswitch Engageは今最前線を走るバンドのひとつとして認識され、本作によってメタルミュージックそのものを牽引する存在に大きくステップアップしようとしています。彼らやSHADOWS FALLが新しいメタルとしてアメリカ国内で認知され“メタルコア”や“MAメタル”という言葉がもてはやされる様になったのは、彼らがハードコアバンド出身メンバーによって結成され、ハードコアのエッジを持ち込んだメタルナンバーを評して使われるようになったのが起源ではないかと思います。初期のサウンドこそそういったハイブリッド感が漂っていたものの今ではすっかりメタルバンド以外の何者でもありません。そのクオリティーは本作でも上昇するいっぽうのようで、叩き上げのライブバンドとしての自信・余裕と自分たちがやっていることに対する確信に後押しされた楽曲はもはやアンダーグラウンドな世界を超越し、メタルバンドとしては異例とも言えるほどのメジャー感を漂わせています。
脳内を巨大なブルドーザーで蹂躙されるような圧倒的な殺傷力を備えたギターリフはさらにへヴィーにキレ味鋭くなっているように感じますが、ギターリフ自体が放つメロディー感が異常なまでにキャッチーで耳を捕らえて離さず、その上に乗るハワード・ジョーンズのヴォーカルはさらにインテンスに、よりロマンティックに聴くものの感情を揺さぶります。前作のような判りやすい1曲があるわけではないのに、前作以上に聴きやすく感じるのはこうしたライブでの大合唱を意識したアレンジの増量とそれを可能にしたハワードの七色のスクリームとスクリーム以上に“魂”を感じるメロディーヴォーカル、そして前作以上に増したアダム(g)のライヴでのキレコミカルなパフォーマンスからは想像しがたいクールなメロディーヴォーカルなどによって曲単体の出来が飛躍的に向上したことによるアルバム全体のクオリティーの向上が要因でしょう。シングル曲(5)My Curseに限らず、どの曲にもライブで大合唱確定の素晴らしいメロディーがあり、そのどれもが安っぽいポップなものにはなっておらず、もはやKILLSWITCHしか創造出来ない壮大でエレガントな雰囲気が醸しだされています。初めて聴く方には(5)My Curseや一際ドラマティックな(3)The Arms Of Sorrowがお勧めですが、個人的に本作で一番と感じたのは(9)Break The Silenceです。現在のバンドのポテンシャル全てを出し切ったような重厚壮大なギターに強烈なスクリームと勇壮なメロディーを最良の形で聴かせるアレンジは見事で、疲弊した社会に対して自己の覚醒を即す歌詞も素晴らしい内容で、曲の3分過ぎの静寂の後のハワードの絶叫には鳥肌モノです。他には(10)Desperate Timesの今までの彼らになかったようなDEFTONES風のエピックな手法も新鮮です。

興味深いのは、先ごろリリースされたTRIVIUMのニューアルバムとの比較です。20歳そこそこと若いメンバー構成のTRIVIUMは自らの愛する音楽に対するルーツの探究を楽曲作りに投影させ、自らの血肉としてバンドの方向性を変化させているのに対して、Killswitch Engageは自ら起こした灯火を大きな炎へと堅持、そして昇華させることでARCH ENEMY風IN FLAMES風といった北欧デスメタルからの脱却(もともと彼らのサウンドは北欧勢とはギターリフもメロディーの質も違ったが)と自分たちのサウンドを完全に唯一無二のものへと深化させることに成功しています。どちらも今後のメタル界に大きな影響を与えるバンドだけにこの方向性の進化と深化の違いは今後ふたつのバンドをどう位置付けていくのかという点で非常に興味深く楽しみでもあります。

試聴する(今ならDIOのカバーが聴けます。やるな!ハワード笑)
posted by replicant at 06:21| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。