2011年08月26日

AMARANTHE [AMARANTHE]

アマランスアマランス
アマランス

ユニバーサル インターナショナル 2011-06-08
売り上げランキング : 14112

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


スウェーデン出身のVo3人を含む6人組の新人によるデビュー盤。やっと出た国内盤です。
2011年出のメタル系新人では断トツのクオリティで間違いなくブライテストホープといったところでしょうか。新人なのに何かこう完成度が高すぎて、すべてが行き届いていて、曲のクオリティ、アルバム全体の完成度が尋常じゃありません。聴いていてこんな気分になったのはLINKIN PARKを初めて聴いた時以来ですね。といっても完全な新人さんではないんですけどね。。ギターのオロフはDRAGONLANDでも活動しており、来日もしています。彼を中心に作られた楽曲に3者3様のボーカルがお互いを邪魔することなく曲に溶け込んでいるアレンジは本当に奇跡的なスマートさなんです。そのオロフ、インタビューでこんな事を言っています。「コンポーザーとして完璧なコード進行を書こうとしている」「AMARANTHEではヴォーカルが最も重要な部分」。なるほど、メタルではヴォーカルから主役の座を奪いがちなギターリフやソロよりも楽曲本位の作曲を心がけているという事なんですね。だからまずキャッチーなヴォーカルのメロディラインに耳が奪われ、2度、3度聴くときにはテクニカルで流麗なギターソロやヴォーカルアレンジの妙に感心するというリピート地獄に落ちて行くという訳です。北欧スウェーデンといえば、IN FLAMES先輩がいて、北欧メロディック・デスメタルはその進化の過程でRAINTIMEやDEAD BY APRIL等を産み落としています。IN FLAMESが[Reroute To Remain]で示した方向性やSOiLWORK[Nachural Born Chaos]を極端にデフォルメした進化系のバンド達です。お隣フィンランドにはNIGHTWISH姉さんがいる。こういった現地のレジェンド達やその系譜を継ぐバンドの延長線上にバンドの青写真を描き、自らの楽曲制作のヒントにしたのは間違いないのではないか。言葉は悪いけどコピーやインスパイア系バンドがオリジネイターを超える場面を我々はこれまでもロックシーンの中で目撃してきた訳ですが、この産業メタルとも言うべき洗練された音楽の持つ圧倒的な魅力の前では取るに足らないことととして受け流せてしまうのです。このアルバムを聴いていると“ただやりたい音楽をやっている”以上のしたたかな計算とそれを具現化するための明確なビジョンを基に制作された背景が透けて見えてくるような緻密なエネルギーを感じ取ることが出来ます。
耳触りとしてはゴリゴリのギターサウンドとそれを中和するサンプリング音による煌びやかな音色が特徴的でヴォーカルメロディもメタル的なクサメロではなく広くポップミュージックを聴く人の耳にも訴求するものです。3ヴォーカルのうち1人アンディは完全にデス声でのスクリームのみしか発しませんが、迫力はあるけどなんだかとてもサラっとしていて良いアクセントになっています。そしてなんといってもエリースの伸びやかなで親しみやすいヴォーカルが聴いていてとても心地よく、北欧のバンドだなぁと実感できる透明感を助長する輝きを放っています。圧倒的な曲のクオリティ、クリアで全てがあるべき所に収まったサウンド、3声混合ヴォーカルのシンクロ率の高さとそのメロディの美しさ…こういう出会いがあるからロックやメタルを聴くことは止められないのだと心底思います。一人でも多くの方にこうした経験をして欲しいので本作はすべてのメタルファン、ロックファンにもお薦めします。また、このアルバムがきっかけでメタルを聴くようになったという人が大勢いてくれればと心から思います。

 なお、オロフを始め、メンバーの多くはこのAMARANTHE以外にもバンド活動をしているそうなので、活動サイクルがどうなるかわかりませんが、ぜひコンスタントに活動を続けて欲しいものです。
posted by replicant at 21:40| Comment(8) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月08日

BLOWSIGHT [Dystopia Lane]

ディストピア・レーン
ディストピア・レーンブロウサイト

Spiritual Beast 2011-02-16
売り上げランキング : 149688


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


スウェーデンの若手バンドの本邦デビュー盤。通算2作目。
この作品に関して私の身のまわりで起きたエピソード。ある日ロックにさして興味のない義弟がウチに遊びに来た時たまたま私のステレオからこのアルバムが流れていた。すると義弟は分厚くポップなサビのコーラスと適度に激しいギターサウンドに即座に反応したのです。数日後、彼はCDを購入し、気にいっているとのことでした。

昨今の細分化された音楽シーンで生き残るためにとりわけ重要なのはやはり“判りやすさ”。ロックアイコンと言われるスター達は皆瞬時に人を引き付けるキャッチ−さを持ち合わせていたのです。そんな先輩たちに肩を並べるとは言わないまでも一瞬でそのサウンドからバンドの全体像が伝わってくるような明快さを備えている、それだけでもこのBLOWSIGHTは大きなアドバンテージを持っていると言えるでしょう。

 でも上に書いたことと相反するようだけど、言葉でこのバンドのサウンドを説明しようとするとこれがまた難しいのです。10年前のポップパンクバンドのようでもあるし、エモ・スクリーモの影響もある。音作りはメタリック。とんでもなくシンプルな曲もあればオーケストレーションを導入した凝ったアレンジの複雑な曲(テクニカルという意味ではありません)も出てくる。アルバムに当世代のポップアイコンの代表曲のカバー(9)Poker Faceを入れるあたりもポップパンク勢を彷彿とさせる。とにかく1曲聴いてほしいのですがこのメロディの鮮度・爽快感はタダ者ではない感じなのです。耳に残るメロディを作る能力は冒頭に書いたように一般リスナーにも訴求力があるほどのクオリティなので、この記事を読んでいるあなたがパンクに興味がなくても、スクリーモって何?だとしても、とにかく一度彼らのサウンドに触れて欲しい。どれか1曲と言われれば間違いなく1曲目のI Wish You 666を薦めますが、出だし4曲はどれも遜色ないくらいの出来なのでぜひ聴いて頂きたい。(1)同様(4)Wake Up Deadや(8)Blue Hair(11)Standby Buttonはとても爽快で、かと思えば(5)Things Will Never Change(9)Days Of Rainはしっとり感動的なバラード。どの曲にも共通してるのはこのバンドはロックだけが彼らの影響源ではないということ。その辺は(12)Compassion For A Dream(14)Dystopiaに顕著に出ています。懸念すべきはポップファンからヘヴィー過ぎると言われ、メタルファンからヤワだと中指を立てられることでしょうか。確かにIN FLAMESのファンは見向きもしないかもしれないし、LADY GAGAを聴く人にはパワフル過ぎてボリュームを下げられてしまう可能性はある。だけどしっかりプロモーションされればかなりいい所まで行けそうなポテンシャルであることに疑いの余地はないでしょう。(いっそヨーロッパは捨ててアメリカオンリーで勝負すれば?なんて思ってしまいます)

何度もこのBLOWSIGHTアルバムを聴いた結論としては、とてもよい出来だが、同時にこれが最高到達点ではないことも感じさせる、今後の伸びしろを感じさせるアルバムだと思います。もっと上手くなるし、もっと長所をデフォルメ出来るし、もっと冒険出来る。それを達成したときには“BLOWSIGHTみたいな〜”と形容されるようなバンドになっているんじゃないでしょうか。

良い新人が認められ、来日公演が行われるくらいの売り上げを記録する。そのライブでまたファンを増やし次回作を期待させる。こうしたサイクルに乗ってバンドは成長する。新たな野心も生まれる。
ぜひその軌道に乗ってバンドを続けてほしい。このバンドが起こすロックの化学反応はより興味深いものへと発展していくはずだから。
posted by replicant at 23:40| Comment(1) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。