2007年08月30日

NOCTURNAL RITES [The 8Th Sin]

B000PHWD9OThe 8th Sin
Nocturnal Rites
Century Media 2007-05-28

by G-Tools


このアルバムは売れなければならない。

少々大げさな言い方ですが、なぜならバンドの演奏力・歌唱力、楽曲のクオリティー、サウンド、そのどれもがこのバンドの過去を凌駕しているだけでなく、近年のメタル景気に沸く欧州産ヘヴィメタルバンドの作品としても“その他大勢”を蹴散らしてしまう素晴らしい内容になっているからです。
NOCTURNAL RITESはメロディック・パワーメタルだと言って良いと思いますが、このバンドの長所はHELLOWEENやSONATA ARCTICAのファンは当然楽しめ、FAIR WARNINGのファンも楽しめるというところです。GOTTHARDのスティーブ・リーとFAIR WARNINGのトミー・ハートを想起させるジョニー・リンドクヴィストの熱い歌声の長所を十分に意識した曲作りの上手さにはさらに磨きがかかり、北欧のロックバンドが得意とするメロディーのドラマティックさ、ポップ感、哀愁美をリンドクヴィストの聴き手を射抜く声で自在に表現し、そこに伝統とモダンさを上手くミックスしたギターワークとキーボードによる味付けで仕上げた楽曲は過去のどのアルバムをも上回る出来映えです。
またリンドクヴィストと2枚看板とも言えるニルス・ノーベリの流麗でテクニカルなギターソロの数々が今回特に充実しており、組立のしっかりした美しく流れるようなソロがいずれの曲でも輝き、中でも(1)Call Out To The Worldは楽曲の良さに呼応するような見事なソロを披露しています。
このアルバムの頭4曲、とりわけ冒頭2曲の出来は緊張感漂うメロディーの質やわかりやすさ、ギターソロなど非常に強い印象を残すキラーチューンで今後の彼らの代表曲へと育っていくべき楽曲です。また(9)Meもこれまでの彼らからすると異色の曲ではありますがリンドクヴィストのもの悲しくも熱を帯びた絶品のヴォーカルと柔軟な作曲センスで将来の伸びしろを感じさせつつアルバムの良いアクセントになっています。
現在のロックシーンでは上手いヴォーカリストと上手いギタリストという両輪の華が存在するバンドであるということ自体とても希少価値のある存在といえると思いますが、NOCTURNAL RITESはその二つの個性を十二分に生かしたヘヴィメタルをやっているという点でシーンを一歩リードする存在と言えそうです。
まだ十分な評価がされていないバンドの一つなので、未聴の方はぜひこのアルバムでNOCTURNAL RITESの存在を知ってください。

新作からは(2)Never Againの試聴とビデオが見られます。
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2007年08月29日

DARK TRANQUILLITY [Fiction]

B000OLG5DQFiction
Dark Tranquillity
Century Media 2007-04-23

by G-Tools


メロディック・デスメタルはメタル・ミュージックの中心ではないが昨今のメタルがメタルらしさを取り戻す上で大きな推進力となったといえます。その中心的な役割を果たしたのがIN FLAMESやARCH ENEMYといったバンドで、その陰に隠れながらも現在のメタルシーンに大きく貢献したDARK TRANQUILLITYの通算8枚目のアルバムです。今もっとも脂ののりきったバンドの作品だけにそのクオリティーは高く個々の楽曲の水準も総じて高くブレを感じさせません。サウンドもさらに向上し主役となる楽器(ヴォーカル含む)にスポットを当てるミキシングがさらにメロディーを強調する印象を強めています。前作を気に入った方なら必ず本作も気に入る事は間違いないでしょう。
前にも述べたかもしれませんが、私はミカエル・スタンネというヴォーカリストの持つ個性・カリスマ性を気に入っており、今回もかれから放たれる孤高の叫びと充実のギターワークに支えられた楽曲が満載の内容となっています。楽曲の求心力をサウンド面から今回さらに大きく貢献しているのがマーティン・ブランドストローム(Key)のキーボードです。SOiLWORKやSCAR SYMMETRY等今では多くのバンドがデスメタルにキーボードサウンドを取り入れていますが、サウンドの隙間を埋めるだけになっていて何らメロディーやアレンジ面で貢献することが出来ない“その他大勢”と違うのはセンスの良さとメロディーメイカーとしての才能が深化した結果と言えるのではないでしょうか。いじり過ぎず簡単にやることで轟音の中でも耳を惹きつけながら、ヴォーカルでやってしまったらメロウになりすぎてしまうであろう印象的なメロディーをドライなサウンドで代弁しています。
DARK TRANQUILLITYにはこれまで、とてもヘヴィなアルバム、メロウなアルバムなど、それぞれの時代に異なる印象を与え一時期多くのファンが離れた時期がありましたが、[Damage Done][Character]では自らの立ち位置を明確にしてアグレッションを取り戻し、そして本作[Fiction]では今までの彼らの集大成とも言える多様性に富んだ内容をファンに拒否反応を与える事なく自然にやってしまう術に長けたバンドへと成長したと感じました。久々のクリーンヴォイスを使った(8)Misery's Crownや女性ヴォーカルを導入した(10)The Mundane And The Magicなどが本作の中に上手く溶け込み、本作の重要な曲になっているのが何より成熟の証と言えるのではないでしょうか。

(3)Terminus (Where Death Is Most Alive)(9)Foucus Shiftが聴けます。

posted by replicant at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月20日

再開します。

ここ2ヶ月ほど公私ともに忙しく毎日のあれやこれに忙殺されていて音楽に触れてはいてもまともに文章に出来る状態では無かったためお休みを頂いておりました。そんな状況にもかかわらずここを訪れていただいた方達には残念な思いをさせてしまったかもしれません。ここでお詫びとお礼を言っておきたいと思います。

私もこの中断の間、音楽を聴いていなかったわけではないのですが、皆さんは春から続く新作ラッシュをどう乗り切ったのでしょうか?これからしばらくは私が迷った末に買ったCDの中から良いと思った作品の紹介が続きます。皆さんが買うか迷っているものがあれば参考にしていただいて、買ったCDがあればご自身の意見とどう違うかなどを楽しんでいただければと思います。
では、早速最初の1枚はこれ。

B000MTFEVOぶっ生き返す
マキシマム ザ ホルモン マキシマムザ亮君
バップ 2007-03-14

by G-Tools


英語圏ではない日本国内の音楽シーンは適度に洋楽の影響を受けつつも、日本独自のJポップ(要するに芸能界)シーンという大きなマーケットがあるためかロックの世界でもその殆どがJポップシーンを念頭に置いたバンドが殆どで、そうした理由から海外でそのまま通用するバンドというのは極めて限られたバンドと言うことができるでしょう。洋楽としてのロックがちゃんと根付いているのに海外マーケットに挑戦するバンドは全くそれに比例していないという残念な状況が続いています。しかしここに紹介するマキシマム ザ ホルモンはそのJポップシーンと海外マーケットの両方を行き来出来そうな希有なバンドの一つでしょう。

攻撃的なヘヴィロックと前のめりなパンクの荒々しさに男性×2、女性×1の3声ヴォーカルが絡み、スクリームからポップなメロディーヴォーカルまで様々な声を駆使してコアなサウンドでありながら極端なまでにキャッチーな楽曲が彼らの持ち味です。洋楽ロックを中心に聴いている私には所々SYSTEM OF A DOWN的だなと思わせるところがあり、ヘヴィなギターとポップなメロディーの組み合わせという意味では初期THE WILDHEARTSを思い出したりもします。作品を重ねる毎に音の塊をぶつけるかのような重量感とその周りを飛び跳ねるかのようなキャッチーさは極端な形でデフォルメされており、その融合が楽曲の印象をタフでありながら超ポップという彼らの個性を完全に確立するに至りました。
その役割が段々大きくなってきたナヲ(Dr)の歌う超ポップな歌メロが普段ロックとは縁遠いリスナーの耳を惹き付け、いつの間にか怒号のようなギターサウンドにも免疫を持たせてしまうような“逃れられない”魅力を放ち始めたといって良いでしょう。邦楽とナメずに多くの人に聴いてほしい作品です。

(2)絶望ビリーは彼らにしてはカッコつけすぎだが、新たなファンを呼び込む強烈なキラーチューンになっている。
posted by replicant at 22:07| Comment(0) | TrackBack(1) | music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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