2008年03月01日

AVENGED SEVENFOLD [AVENGED SEVENFOLD]

B000VI6Z5Aアヴェンジド・セヴンフォールド
アヴェンジド・セヴンフォールド
WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M) 2007-11-07

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メジャー移籍第2弾となる本作は今まで1枚たりとも同じような作品をリリースしていないAVENGED SEVENFOLDの作品の中でも最も飛躍した内容となっています。これまでの彼らの作品は1曲の中に4,5曲分の要素が詰まったような複雑さをヴォーカルを中心としたメロディーの濃さ、わかりやすさでコーティングしてアメリカのバンドとは思えない仰々しさを前面に押し出し、メタルコア景気で賑わっていたアメリカ市場でも特筆すべき個性とライブパフォーマンスが評価され、一躍メタルシーンの未来を担う存在と言われるまでに成長してきました。
前々作[Waking a Fallen]制作時からスクリームすることに多少違和感があったという彼らはオーセンティックなメタルにアメリカのバンドらしいドライブ感とGUN'S N' ROSESに代表されるダーティーなロックを融合したスタイルで[City Of Evil]を発表し瞬く間にメタルファンの心を捉えました。
こういったメタルバンドのアルバムが100万枚売れたこと自体、今の音楽シーンの流通事情を考えれば異例のことですが、内容的に一定方向でのあらゆる可能性を追求し尽くした感のある[City Of Evil]だけに個人的には新作がどういった方向性になるのか非常に期待していました。

新作を聴いた瞬間私は確信しました。アメリカから久しく出てこなかった規格外のバンドである、と。
メタル専門誌BURRN!でも軒並み高評価を得たようにすでに本作が“成功したアルバム”であることは周知の事実です。曲のクオリティーはどれも高く、一切の無駄が無く、どの曲も早送りできない完璧な配置でラストまで一気に駆け抜けるジェットコースターアルバム。聞き手を程よい疲労感とどうしようもない飢餓感に落としいれ、もう1度と思わずにはいられない間違いようのない傑作。粗製乱造されるレコード会社の駒になることを強烈に非難しているようにも聴こえる強烈な求心力に満ちたサウンドです。密度200%だった前作と比べると音に隙間を作ることでタメができ、強烈なグルーヴを生み出し、楽曲により即効性のある殺傷能力を植えつけています。これは予定調和の過剰摂取でファンの耳を腐らせないという意味で非常に優秀で野心に満ち溢れたバランス感覚と言えると思います。それを象徴するのが(1)Critical Acclaim(2)Almost Easy(3)Screamの3曲ですが、BLACK LABEL SOCIETYのような南部テイストで始まり叙情的なサビが繰り返される(5)Gunslinger、彼らお得意の典型的なメロディック・スピード・メタルかと思いきやサビは80年代のBON JOVIのようにポップでしかもDAFT PUNKのようなヴォーカル・エフェクトが気持ちいい(8)Lost、奇妙奇天烈な彼らの頭の中を覗き込んだかのような錯覚を覚える意欲作(9)A Little Piece Of Heaven、(1)〜(9)までの横揺れ、縦揺れで乱れた髪に乾いたそよ風を運んでくるような(10)Dear God、特に(10)はカントリーソングで我々日本人がもっとも受け入れがたい音楽ジャンルの一つだが、私はとても気に入りました。BON JOVIのニューアルバムは自らのフィールドにカントリーのエッセンスを取り入れて中途半端な印象しか残さなかったのに対し、AVENGED SEVENFOLDは完全にカントリーのフィールドに自らを放り込んでいる思い切りの良さ、若さが感じられる。両者のとったスタンスの違いは微妙な違いですが私の曲に対する印象は相当な差があります。
本作に対してひとつ不安があるとすればコアなメタルファンは彼らの軸足をメタルに置きながらも放射状に広がった新作の音楽性をどこまで受け入れられるのか、ということです。
(8)Lostにヤワなアレンジだと中指を突き立てるだろうか?(9)A Little Piece Of Heavenを悪ふざけが過ぎると眉間にしわを寄せるだろうか?(10)Dear Godをボーナストラック扱いできるだろうか?大成功して欲しいアルバムだけに余計な心配もしてしまいます。
“立ち止まらない”ことを公言しているバンドだけに本作も“今”の彼らのスナップショットであり、それがたまたまメタルの未来を変えるかもしれないベストショットだったということ。次作はもしかしたら我々にはボヤけて映る作品を作るかも知れません。しかし近年メタル界にこれほど“進化”という言葉を意識させるバンドがいたでしょうか?昨今のIRON MAIDEN回帰、METALLICA回帰で純度を増してきたシーンの中で突出した存在感を放ち始めているAVENGED SEVENFOLD。彼らには今しばらくシーンの先頭を突っ走ってもらいたいのです。シーンの異端児ではなく。

そして本作を語る上ではずせない重要な要素を担っているのがレヴ(Dr)のヴォーカルです。以前からライヴでは歌っている姿は確認できたものの、本作で初めてレコーディングから歌入れに参加し、とても重要なパート、印象に残るパートを素晴らしい声で歌い上げています。特に(1)Critical Acclaim(9)A Little Piece Of Heavenでの貢献は計り知れません。もしかしたら次回作ではレヴが1曲丸々歌いきる楽曲が登場するかもしれませんね。そうすればライブでM.シャドウズ(Vo)が休めるから90分以上のライブが見られるかも!

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2008年02月11日

NIGHTWISH [Dark Passion Play]

B000TLYEEIダーク・パッション・プレイ~リミテッド・エディション
ナイトウィッシュ
ユニバーサル インターナショナル 2007-09-26

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看板ヴォーカリスト、ターヤへの衝撃の解雇通告で思ったのは、おそらくこのバンドのピークは前作[Once]であり、いくら作曲のイニシアティブをもっているツォーマス・ポロパイネンkey)がいて、この先どんな作品が発表されてもおそらく前作の亡霊はこのバンドに永遠に憑いてくるのだろうということです。バンドのクリエイティビティーとターヤの個性がかつてない程に高次元で融合した前作は明らかにこのバンドの一つの完成型であると同時に、EVANESCENCEによって耕された土壌(EVANESCENCEを気に入り同じようなサウンドを求めた新しいファンとNIGHTWISHは知っていたがEVANESCENCEによって女性ヴォーカルものに抵抗をなくしNIGHTWISHを再評価したファン)でも当然のように高く評価され、このジャンルのひとつの指標となりました。セールス的にもバンドのそれまでの記録を上回る成果を上げています。
ターヤ解雇はすでに起こってしまった事であり、各メディアでもその経緯が語られているのでその辺は割愛しますが、残念に思う気持ちを拭い去り、新生NIGHTWISHに期待したい気持ちはあるにはありましたが、ターヤのそっくりさんを加入させるつもりはないんだとある程度わかっていたせいか、どんなサウンドになるか期待と不安が入り交じった焦燥感でジリジリしながら待っていた中で本作が登場しました。
注目が集まるなか新加入したのはスウェーデン出身のアネット・オルセンで、声質の第1印象はターヤとWITHIN TEMPTATIONのシャロン・デン・アデルの中間くらい(ターヤの驚異的な荘厳さやシャロンの繊細な歌唱力はありません)、オペラティックな歌唱はなく、よりポップで大衆的な響きを声自体が内包しているといったもので、言うなれば、ターヤの歌唱のスキルを全てではないにしろ再現出来る能力を持ちながら、より耳に心地よい親しみやすさが彼女の武器であるといったところでしょうか。

NIGHTWISHのアルバムとしてはおそらくかなりヘヴィーに仕上がっている本作はギターが前面に出て来て、より豪奢になったオーケストラやクワイヤは前作にも増して非の打ち所がなく、それにターヤ解雇でツォーマス達が味わった心情を吐き出すかのような歌詞とその感情を聴き手に増長させるマルコ・ヒエタラ(b)の歌(今回の彼は歌うパートが増えてその歌唱は本当に素晴らしい。特に(10)The Islander!!)がヘヴィーという印象を決定づける要素となっていて、アネットのヴォーカルのような中和剤がなかったら相当ダークなイメージになっただろうなと思います。その中で光る(6)Evaや(3)Amaranthといった艶やかなポップ感を伴った楽曲はターヤという翼をもがれてもなお墜落することなく転生したこのバンドの力強い生命力を感じさせ本作の輝きの象徴となっています。
(1)The Poet and The Pendulum(5)Master Passion Greed(12)7 Days to The Wolves等などを聴いてターヤの不在を嘆くファンはいるだろうか?少なくとも私は全く否定的な意見すら浮かんでこない。それくらいこのアルバムと新加入のアネットに満足しています。
プロモーターの会場のチョイスに愕然として行く気が失せた今年初頭の来日公演もかなり好評のようだったので次回はせめてZEPP東京くらいを使わせて彼らのフルパフォーマンスに近いライブを見せて欲しいものです。

(2)Bye Bye Beautiful(3)AmaranthのPVが観られます。
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2008年01月12日

Madina Lake [From Them, Through Us, To You]

B000OZ2H0Mフロム・ゼム、スルー・アス、トゥ・ユー(スペシャル・プライス)
マディーナ・レイク
ロードランナー・ジャパン 2007-05-23

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ルックスの良いレオン兄弟が中心に結成されたわかりやすいスクリーモサウンドを鳴らす期待の新人の1stアルバム。新人のアルバムにも関わらず、JIMMY EAT WORLDやBLINK182等を手がけたマーク・トロンビーノがプロデュースを手掛けている事でもこのバンド、このアルバムへの周囲の期待度がうかがい知れます。出音はそのJIMMY EAT WORLDとLOSTPROPHETSを足したような、荒々しさよりもどちらかというと洗練されたもので、LOSTPROPHETSのイアン・アトキンスにそっくりな声質を持つネイサン・レオンのヴォーカルが中心に据えられた楽曲は1曲の中に必ず覚えやすいサビがあり、時折挟まれるループのカラフルな味付けやプロデューサーの手腕による緻密で整理整頓されたサウンドが心地よくかみあっています。
この手のサウンドに属するバンド達はシーンから埋没すること恐れるあまり背伸びしてつまらない結果になってしまうケースが急増していますが、LOSTPROPHETSと同じ方法論によってエモの繊細さと骨太なハードロックを上手くかみ合わせて、押し引きの巧みな楽曲に仕上げています。
例えば(2)Here I Stand(7)Pandoraは力強くエッジーでLOSTPROPHETSあたりを手本にしたようなメロディアスでありながらドライブ感のあるイメージを上手く捉えていて、(8)StarsではまるでLOSTPROPHETSの名曲Rooftopのように若者の胸中を鷲掴みにするような憂いと一気に爆発しシンガロングせずにはいられないコーラスが印象的な楽曲、と起伏を生み出す全体のバランスがとても優れたアルバムに仕上がっています。ヴォーカルの声質、プログラミングの多用、音楽的方向性の全てがLOSTPROPHETSとかぶっているので彼らのファンはこのMadina Lakeも歓迎できるでしょう。
サウンド的には時流に乗った感がとても強い印象なので彼らのようなバンドがこの先も生き残って行くには今ある才能+運やシーンの流れを読むしたたかな洞察力が必要になるでしょうが、ある意味普遍的なメロディーの魅力を持ったバンドなので質さえ維持すればこれからも楽しみなバンドとなるかも知れません。
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2007年09月30日

Amorphis [Silent Waters]

B000TGQDZ6Silent Waters
Amorphis
Nuclear Blast 2007-09-18

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“今現在の自分の知恵や経験を持ったまま若い頃に戻れたらどんなに良いだろうか”人は皆1度はそんな事を考えたことがあるのではないでしょうか?Amorphisはどうやら自らの音楽でその夢を実現してしまったかのようだ。
前作[Eclipse]は私にとって文句なしの傑作でした。Amorphisの過去の絶頂期のフィーリングを取り戻し(主に3rd[Elegy]が引き合いに出された)、SENTENCEDの遺伝子が埋め込まれたようなヘヴィネスと悲哀の結晶のような楽曲に、新加入のヴォーカル、トミ・ヨーツセンの地鳴りのような咆哮とエモーショナルなクリーンヴォイスという素材が大きな求心力となってSENTENCEDの終焉で大きな虚無感に満たされていた私の心に手を差し伸べられたような錯覚を覚えたアルバムでした。通算8作目にあたる[Silent Waters]はその傑作[Eclipse]と双子のようなアルバムで、今回の楽曲も新たな絶頂期であることを確信させるクオリティーを誇っています。
まさに復活作となった[Eclipse]は[Elegy]や[Tales From The Thousand Lakes]でAmorphisに狂喜したファンはもちろんのこと、彼らを知らなかった新しいメタルファンからも大いに注目を集め、バンドをシーンの第一線に押し戻す成功を収めました。傑作というのは、何回も繰り返し繰り返し聴かれ、人それぞれが思い入れと愛情を持っているため、その次の作品というのはどんなに良いアルバムであってもその内容を正当に評価することが難しいものです。
しかし本作は内容的にもサウンド的にも前作を引き継いでいるものになっており、楽曲のクオリティーも前作に負けないものだと感じました。微妙な変化と言えるのは前作はアルバム[Elegy]と比べられるべき内容でしたが、本作が持つアグレッションはどちらかというと[Tales From The Thousand Lakes]のそれであるということです。そこに[Tuonela][Am Universum]等を経た経験値が絶妙にミックスされ過去の焼き直しではないAmorphisの“いま”を伝えるサウンドになっているのだと思います。
トミ・ヨーツセンの才能は本作でさらにバンドの長所となって大きく成長しており、定評のあったデス・グロウル系ヴォーカルと感情豊かなメロディーヴォーカルのメリハリは巧みさを増して、特に悲哀に満ちたメロディーヴォーカルでの表現力はより安定感と繊細さを増しました。(3)Silent Waters(5)I Of Crimson Blood(10)Black River等はそうした特徴がよく出た楽曲でポップな質感すら感じるメロディーの柔らかさと憂いに満ちた感情がトミのヴォーカルに乗って聴き手に伝わってきます。しかし本作で聴き手を最も熱くさせるのは(2)A Servant(4)Towards And Againstのようなヘヴィーチューンでしょう。前作で得た経験値を土台に、より攻撃的な躍動感に満ちた楽曲は前作にはなかったものです。現在の自分たちの個性に磨きをかけながら過去のキャリアのエッセンスを注入する余裕と冷静さが光る作風はバンド史上最高傑作である[Eclipse]に確かな成長の跡を上積みした結果であり、新たに始まった彼らの絶頂期を確かなものとする安定感を感じさせます。
音楽シーン全体で見ればまだまだアンダーグラウンドな存在の彼らに本作で初めて出会った方はぜひ前作[Eclipse]も聴いていただきたい。

試聴する((1)Weaving The Incantation(6)Her Alone(8)Shamanと(3)Silent WatersのPVが観られます。)
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2007年09月28日

DREAM THEATER [Systematic Chaos]

B000PFUAO6Systematic Chaos
Dream Theater
Roadrunner Records 2007-06-05

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DREAM THEATERはこれまで彼らがやってきた音楽、すなわちプログレッシヴ・ロックへのあこがれを自らが直接受けたヘヴィーメタルの影響を他人に真似できないレベルで融合させることによって生まれる、唯一無二のプログレッシヴ・メタルを生み出し、もはやベテランとしてシーンに確固たる地位を確立し未だに大きくなり続け、メンバーチェンジやメンバー個人のミュージシャンとしての飛躍、私生活の変化などを糧としながら多くの名作を生んできました。
長年在籍したメジャーレーベルからインディーでメタル系に強くメジャー級の配給力を持つRoadrunner Recordsへと移籍し新しい章の始まりと位置づけた彼らにとっての9作目が発売になりました。大作傾向、コンセプチュアルな前作と比べると1曲1曲が独立した比較的シンプルにまとまった本作ですが、これまでの彼らを応援してきたファンへの気持ちと新しい出発に際し貪欲に自らをアピールする2面が交差する充実の内容となっています。
前作はそこかしこに隠されたグランド・コンセプトと多様でメロディーに長けた楽曲、それを表現者としてまた一歩前進したジェイムズ・ラブリエのヴォーカルの素晴らしさによって元々高水準のアルバムばかりの彼らの作品の中でも特別な1枚となった作品でした。とりわけアルバム・タイトルトラックの「Octavarium」は今まで全ての時代のDREAM THEATERに通ずるドアのような、それでいて今後の彼らの曲作りの指針となるべき曲で、今も聴くたびに新たな発見があり、曲が成長し続けているような感覚に捕らわれる奥深い1曲としてDREAM THEATERの歴史に加わった名曲でした。
本作はコンセプトアルバムではなく1曲が独立した世界を持つ楽曲が並んでいます。(1)In The Presence Of Enemies Pt.1(8)In The Presence Of Enemies Pt.2だけがタイトルからもわかる通り元々25分あった大作を二つに分けオープニングとエンディングに配置することでアルバム全体のイメージすら決定づける役割を持つ重要な曲となっており、前作の「Octavarium」の壮大さとはひと味違ったメタリックでダークな世界観を提示しています。ラブリエのヴォーカルは計算され尽くした歌メロの中で繊細さと邪悪でダーティーな声音を上手く使い分けていて、アルバム[Awake]時に試みて上手くいっていなかった声質のポップさを補完する威厳を手に入れたようです。ダークな雰囲気(アルバム全編そうだが)ながら本作の中で一番ポップな曲とも言える(2)Forsaken、アルバム[Train of Thought]に入っていてもおかしくない攻撃的なリフで押しまくるMETALLICAソング(3)Constant Motions、本作でのジョン・ペトルーシ(g)の一番のギターソロが聴ける(5)Repentance、痛烈なメッセージを含む歌詞とQUEENのようなアイデアを活かしたライブ映えしそうな(6)Prophets Of War、(1)(8)に負けず劣らずエピックでメロディアスな(7)The Ministry Of Lost Souls等どれも強力なインストゥルメンタルとラブリエの本領が発揮された楽曲です。
メロウな曲はあっても暖かみや優しさ、希望、明るさといった暖色系のメロディーは殆ど皆無でどんな場面でも光を遮るダークなメロディーが支配しているのが本作の特徴でしょうか。それでも灰色に沈んだ暗いイメージに陥らないのはジェイムズ・ラブリエの色彩豊かなヴォーカルラインとジョン・ペトルーシ(g)、ジョーダン・ルーデス(key)等によるメロディーの洪水のごとき演奏によるところが大きいでしょう。アルバムを何度も何度も聴き込む事によって、楽曲の中で何が行われているか発見していく楽しみは本作でも尽きることはありません。

ファンの方はもうご存じとは思いますが、本作[Systematic Chaos]に伴うジャパン・ツアーは現在のところ武道館1回限り(しかも平日!)と発表されました。このクラスのバンドが武道館とはいえ1回公演など言語道断。必ず近いうちに戻ってきてもらいましょう。

試聴する(本作からは特にヘヴィーな2曲(3)Constant Motion(4)The Dark Eternal Nightの試聴が可能です。)
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2007年09月15日

MEGADETH [United Abominations]

B000OCXFCOUnited Abominations
Megadeth
Roadrunner 2007-05-15

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MEGADETHの前作[System Has Failed]は復活MEGADETHのアルバムとしてとてもいいアルバムでした。しかしデイヴ・ムステインが認める通りMEGADETHの活動停止後ソロアルバムの為に書いたアイデアや楽曲が多かった事、ムステイン以外セッション・ミュージシャンだった事(MEGADETHファミリーの一人、クリス・ポーランドがゲスト参加)が影響したのか、活動停止前の迷走期2作[Risk][The World Needs A Hero]に入ってもおかしくないような曲調もありましたが、曲そのものの出来は[Risk]とは比べものにならないくらい高く、私の印象では[Criptic Writings]と80年代のMEGADETHの要素を足したような印象でした。
新しいMEGADETHが予想以上にうまくいっていると公言していたムステインは今のバンドによる作品を形にするべく、明らかに[System Has Failed]よりよ良いアルバムが出来るとやる気を見せていたように思います。そうして出来上がった本作はムステインの自信に満ちた不敵な笑みが浮かんでくるようなClassic MEGADETHと、どんどん上達する歌唱を生かしたメロディーラインが絶妙な仕上がりとなりました。[System Has Failed]に比べれば明らかにヘヴィでムステインのヴォーカルも80年代の彼にあったトゲが(歌詞も含めて)復活しているように思います。MEGADETHの楽曲に不可欠だといえるキレが戻ったことも本作を際だたせている要因でしょう。パーソナリティーの強烈さでは、ニック・メンツァやマーティー・フリードマンがいた時代に及びませんが、ドローヴァー兄弟と元WHITE LIONのジェイムズ・ロメンゾを加えた現在の布陣はMEGADETHの音楽を体現し、ムステインが気持ちよく活動する上でとても良い関係を築いている事が音からも伝わってきます。

最初のシングルにまで登り詰めた(8)A Tout Le Monde (Set Me Free)は[YOUTHANASIA]収録のファンにはお馴染みの曲ですが、LACUNA COILのクリスティーナ・スカビアとのデュエットが実現した今回のヴァージョンは以前に馴染んだものよりも良い出来であるという事は特筆に値するでしょう。私はこういうケースでオリジナルを上回るヴァージョンというのはなかなか経験したことがないので(WHITESNAKEのCrying in the RainとHere I Go Againくらいだ)、リメイクは大成功だと思います。他にも新たなアンセムの誕生と言える(2)Washington Is Next!ムステインとグレンのギターの掛け合いで二人の個性が浮き上がる(7)Play For Blood、[So Far So Good...So What]や[Rust In Peace]に入っていてもおかしくない(1)Sleepwalkerなど我々が好きだと思うMEGADETHサウンドが詰まっています。新機軸はないけれどこのジャンルのオリジネイターの一角としていまだ衰えない威厳を取り戻した充実作と言えるでしょう。

スカビア嬢とのデュエットPVが見られます。
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2007年08月30日

NOCTURNAL RITES [The 8Th Sin]

B000PHWD9OThe 8th Sin
Nocturnal Rites
Century Media 2007-05-28

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このアルバムは売れなければならない。

少々大げさな言い方ですが、なぜならバンドの演奏力・歌唱力、楽曲のクオリティー、サウンド、そのどれもがこのバンドの過去を凌駕しているだけでなく、近年のメタル景気に沸く欧州産ヘヴィメタルバンドの作品としても“その他大勢”を蹴散らしてしまう素晴らしい内容になっているからです。
NOCTURNAL RITESはメロディック・パワーメタルだと言って良いと思いますが、このバンドの長所はHELLOWEENやSONATA ARCTICAのファンは当然楽しめ、FAIR WARNINGのファンも楽しめるというところです。GOTTHARDのスティーブ・リーとFAIR WARNINGのトミー・ハートを想起させるジョニー・リンドクヴィストの熱い歌声の長所を十分に意識した曲作りの上手さにはさらに磨きがかかり、北欧のロックバンドが得意とするメロディーのドラマティックさ、ポップ感、哀愁美をリンドクヴィストの聴き手を射抜く声で自在に表現し、そこに伝統とモダンさを上手くミックスしたギターワークとキーボードによる味付けで仕上げた楽曲は過去のどのアルバムをも上回る出来映えです。
またリンドクヴィストと2枚看板とも言えるニルス・ノーベリの流麗でテクニカルなギターソロの数々が今回特に充実しており、組立のしっかりした美しく流れるようなソロがいずれの曲でも輝き、中でも(1)Call Out To The Worldは楽曲の良さに呼応するような見事なソロを披露しています。
このアルバムの頭4曲、とりわけ冒頭2曲の出来は緊張感漂うメロディーの質やわかりやすさ、ギターソロなど非常に強い印象を残すキラーチューンで今後の彼らの代表曲へと育っていくべき楽曲です。また(9)Meもこれまでの彼らからすると異色の曲ではありますがリンドクヴィストのもの悲しくも熱を帯びた絶品のヴォーカルと柔軟な作曲センスで将来の伸びしろを感じさせつつアルバムの良いアクセントになっています。
現在のロックシーンでは上手いヴォーカリストと上手いギタリストという両輪の華が存在するバンドであるということ自体とても希少価値のある存在といえると思いますが、NOCTURNAL RITESはその二つの個性を十二分に生かしたヘヴィメタルをやっているという点でシーンを一歩リードする存在と言えそうです。
まだ十分な評価がされていないバンドの一つなので、未聴の方はぜひこのアルバムでNOCTURNAL RITESの存在を知ってください。

新作からは(2)Never Againの試聴とビデオが見られます。
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2007年08月29日

DARK TRANQUILLITY [Fiction]

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Dark Tranquillity
Century Media 2007-04-23

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メロディック・デスメタルはメタル・ミュージックの中心ではないが昨今のメタルがメタルらしさを取り戻す上で大きな推進力となったといえます。その中心的な役割を果たしたのがIN FLAMESやARCH ENEMYといったバンドで、その陰に隠れながらも現在のメタルシーンに大きく貢献したDARK TRANQUILLITYの通算8枚目のアルバムです。今もっとも脂ののりきったバンドの作品だけにそのクオリティーは高く個々の楽曲の水準も総じて高くブレを感じさせません。サウンドもさらに向上し主役となる楽器(ヴォーカル含む)にスポットを当てるミキシングがさらにメロディーを強調する印象を強めています。前作を気に入った方なら必ず本作も気に入る事は間違いないでしょう。
前にも述べたかもしれませんが、私はミカエル・スタンネというヴォーカリストの持つ個性・カリスマ性を気に入っており、今回もかれから放たれる孤高の叫びと充実のギターワークに支えられた楽曲が満載の内容となっています。楽曲の求心力をサウンド面から今回さらに大きく貢献しているのがマーティン・ブランドストローム(Key)のキーボードです。SOiLWORKやSCAR SYMMETRY等今では多くのバンドがデスメタルにキーボードサウンドを取り入れていますが、サウンドの隙間を埋めるだけになっていて何らメロディーやアレンジ面で貢献することが出来ない“その他大勢”と違うのはセンスの良さとメロディーメイカーとしての才能が深化した結果と言えるのではないでしょうか。いじり過ぎず簡単にやることで轟音の中でも耳を惹きつけながら、ヴォーカルでやってしまったらメロウになりすぎてしまうであろう印象的なメロディーをドライなサウンドで代弁しています。
DARK TRANQUILLITYにはこれまで、とてもヘヴィなアルバム、メロウなアルバムなど、それぞれの時代に異なる印象を与え一時期多くのファンが離れた時期がありましたが、[Damage Done][Character]では自らの立ち位置を明確にしてアグレッションを取り戻し、そして本作[Fiction]では今までの彼らの集大成とも言える多様性に富んだ内容をファンに拒否反応を与える事なく自然にやってしまう術に長けたバンドへと成長したと感じました。久々のクリーンヴォイスを使った(8)Misery's Crownや女性ヴォーカルを導入した(10)The Mundane And The Magicなどが本作の中に上手く溶け込み、本作の重要な曲になっているのが何より成熟の証と言えるのではないでしょうか。

(3)Terminus (Where Death Is Most Alive)(9)Foucus Shiftが聴けます。

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2007年08月20日

再開します。

ここ2ヶ月ほど公私ともに忙しく毎日のあれやこれに忙殺されていて音楽に触れてはいてもまともに文章に出来る状態では無かったためお休みを頂いておりました。そんな状況にもかかわらずここを訪れていただいた方達には残念な思いをさせてしまったかもしれません。ここでお詫びとお礼を言っておきたいと思います。

私もこの中断の間、音楽を聴いていなかったわけではないのですが、皆さんは春から続く新作ラッシュをどう乗り切ったのでしょうか?これからしばらくは私が迷った末に買ったCDの中から良いと思った作品の紹介が続きます。皆さんが買うか迷っているものがあれば参考にしていただいて、買ったCDがあればご自身の意見とどう違うかなどを楽しんでいただければと思います。
では、早速最初の1枚はこれ。

B000MTFEVOぶっ生き返す
マキシマム ザ ホルモン マキシマムザ亮君
バップ 2007-03-14

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英語圏ではない日本国内の音楽シーンは適度に洋楽の影響を受けつつも、日本独自のJポップ(要するに芸能界)シーンという大きなマーケットがあるためかロックの世界でもその殆どがJポップシーンを念頭に置いたバンドが殆どで、そうした理由から海外でそのまま通用するバンドというのは極めて限られたバンドと言うことができるでしょう。洋楽としてのロックがちゃんと根付いているのに海外マーケットに挑戦するバンドは全くそれに比例していないという残念な状況が続いています。しかしここに紹介するマキシマム ザ ホルモンはそのJポップシーンと海外マーケットの両方を行き来出来そうな希有なバンドの一つでしょう。

攻撃的なヘヴィロックと前のめりなパンクの荒々しさに男性×2、女性×1の3声ヴォーカルが絡み、スクリームからポップなメロディーヴォーカルまで様々な声を駆使してコアなサウンドでありながら極端なまでにキャッチーな楽曲が彼らの持ち味です。洋楽ロックを中心に聴いている私には所々SYSTEM OF A DOWN的だなと思わせるところがあり、ヘヴィなギターとポップなメロディーの組み合わせという意味では初期THE WILDHEARTSを思い出したりもします。作品を重ねる毎に音の塊をぶつけるかのような重量感とその周りを飛び跳ねるかのようなキャッチーさは極端な形でデフォルメされており、その融合が楽曲の印象をタフでありながら超ポップという彼らの個性を完全に確立するに至りました。
その役割が段々大きくなってきたナヲ(Dr)の歌う超ポップな歌メロが普段ロックとは縁遠いリスナーの耳を惹き付け、いつの間にか怒号のようなギターサウンドにも免疫を持たせてしまうような“逃れられない”魅力を放ち始めたといって良いでしょう。邦楽とナメずに多くの人に聴いてほしい作品です。

(2)絶望ビリーは彼らにしてはカッコつけすぎだが、新たなファンを呼び込む強烈なキラーチューンになっている。
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2007年06月27日

THE USED [Lies For The Liars]

B000O76P9Oライズ・フォー・ライアーズ
ザ・ユーズド
ワーナーミュージック・ジャパン 2007-05-23

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前作に伴う活動後、THE USEDはドラマーの交代を経験しバンド内の空気を一新し、これからのバンドの方向性についても色々と悩んだ事でしょう。“スクリーモ”バブルはすでに崩壊しつつあるからです。しかしトレンドの盛衰によって消えてしまうバンドでないことはこのアルバムが証明したといって良いでしょう。もともとこのシーンのバンドの中でも楽曲クオリティー、ライブパフォーマンス、シンガーの歌唱力とカリスマ性といった点で多くのバンドの上に立つ彼らなのでいったんバンドのクリエイティビティーに火が付けば外野の我々が心配する必要なんてなかったのでしょう。
本作に伴うインタヴューを見ると今までの繰り返しはしたくなかった・・・などの発言が目立ちますが、私が思うにTHE USEDの楽曲として新機軸と感じることはありませんでした。どの曲もとてもTHE USEDらしいサウンドとメロディーに満ちていてとても良いアルバムだというのが率直な感想です。バートのスクリームの量が前作にも増して少なくなっていてほんの味付け程度にしか出てこない事に物足りないと思うファンもいるかもしれませんが、そんなことは多くの人にとってはどうでもいいことでしょう。
私には前作[In Love and Death]は幾分内省的すぎると今でも思っていますが、本作に収録された楽曲の多くはダイナミズム、発散されるエネルギー、メロディーの親しみやすさの点でTHE USEDをより多くのリスナーにアピールする出来になっていると思います。
そして本作に(8)Wake The Deadのような曲を発見出来たことを素直に喜びたいと思います。1stアルバムで我々の度肝を抜いたあの激と美の振り幅の激しい楽曲が最高の形で収まっており、ライブ感、グルーヴ感を増した前半部から一変して中間部の美しく瑞々しいパートを挟んでの激しいブレイクパートまでのアレンジはTHE USEDが自分たちを失うことなく成長してきた証しと言えるのではないでしょうか。他にもシアトリカルでダイナミズム溢れる(3)The Bird And The Wormや彼らのポップセンスを濃縮させた(7)With Me Tonight、ファーストアルバム収録の名曲On My Ownに肉薄する美しいバラード(11)Smother Meなど聴き所が多く、毎日聴いていると日替わりで色々な楽曲を好きになるアルバムです。

試聴する
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